約280時間／月の工数削減とお客様の折り返し率を約50％向上！手作業による業務負荷から救った、現場が喜ぶSMS改革

日本生命保険相互会社

生命保険業界のリーディングカンパニーとして、お客様一人ひとりの人生に寄り添い続ける日本生命保険相互会社。同社では、Web サイト経由で資料請求されたお客様へのアプローチを、全国99 か所のフィールドセールス部隊（ライフプラザ）へと繋ぐ「インサイドセールスチーム」が顧客接点の重要な役割を担っています。
電話が繋がらなかったお客様へオペレーターがSMSを送り、顧客接点を構築する一方で、SMS送信時に発生する登録作業や複数端末の使い分けなど、多くの企業様でも抱えられている『手作業による業務負荷』の課題に直面していました。
この負のスパイラルを断ち切るため、同社はSalesforce と連携するSMS 送信サービス「KDDI Message Cast for Salesforce」を導入。
これにより業務プロセスは劇的に改善し、目覚ましい成果を上げています。

本記事では、この変革を主導されたインサイドセールスのシステム導入・管理を担う営業企画部の伊藤様に、課題解決への道のりと「昨年導入したシステムで最も効果を感じた！」
とオペレーターから喜びの声が上がる程の 成功に至った秘訣を伺いました。

導入前の壁：迫る目標未達の危機。一人当たり月約14 時間を奪う手作業と、見えない活動履歴の二重苦

− 本日は貴重なお時間をありがとうございます。それではサービス導入前に抱えていた貴社の課題について、詳しくお聞かせいただけますか？

伊藤 様：私たちのインサイドセールスチームでは、現在約30名のオペレーターが在籍しており、Web サイト経由で資料請求をされたお客様へ、月間約4,000件の資料請求に対する架電対応を行っています。ご不在だったお客様にはSMS を送信して折り返しのお電話をお願いしています。数少ないお客様接点の構築として、SMSを送信してフォローアップを行っておりますが、そのプロセスが現場では大きな負担となっていました。
資料請求顧客の情報はSalesforceで一元管理されているにもかかわらず、SMS を送信するためにはまず、そのお客様情報を社内の別システムに手作業で転記し、さらにリーダーやマネージャーの承認を得てから、専用のモバイル端末で送信操作を行う必要があったのです。

− オペレーターの方々の熟練度を感じますが、お電話からSMS送信までのプロセスがなかなかの業務負荷 となっていますね。伊藤 様の中で「何とかしなければならない」と強く思われた機会があったのでしょうか。

伊藤 様：ええ。年間の目標顧客対応数を決定する際に現場を視察しましたが、実際のお客様対応の様子を目にし、「この事務負荷のままでは、到底目標達成は不可能だ」と痛感しました。肌感覚ですが、この手作業が原因で、月に20 件、30 件ほどの有望なリードをフォローしきれずに諦めていたかもしれません。まさに「何とかしなければならない」と強く感じた瞬間でした。

− 資料請求顧客の情報をSalesforceで管理されていますが、履歴管理の観点で機会損失は発生していたのでしょうか？

伊藤 様：それも深刻でした。SMS の送信履歴をSalesforce 上に残すかどうかはオペレーターの判断に委ねられていたため「誰が」「いつ」「どんな内容」のSMS を送ったのか分からないケースが多発していました。対応履歴入力や管理に漏れが発生してしまうと、結果としてお客様への対応状況を正しく分析できず、有効な改善策を検討できない状況だったのです。

解決策と成功の鍵：機能と「人」で選んだ、伴走してくれるパートナー

− 数あるSMS サービスの中から、「KDDI Message Cast for Salesforce」を選ばれた決め手は何だったのでしょうか？

伊藤 様：やはり「Salesforce との互換性の高さ」が最大の決め手でした。それに加え、利用した分だけ費用が発生する料金体系も導入のハードルを大きく下げてくれました。
そしてSalesforce を前提に、アジャイル的に機能改善や要望への対応ができる製品の柔軟性も、長期的なパートナーとして魅力的でしたね。

− 機能や費用以外の決め手はありましたか？

伊藤 様：実は、KDDI の営業担当の方の人柄やサポートの手厚さも、選定における重要な要素でした。ツールは導入して終わりではなく、会社全体として長く使っていくものです。当社の状況を深く理解し、親身に相談に乗ってくれる姿勢を見て、「KDDI さんとなら今後も一緒に改善していけるに違いない。」と確信できたのです。

− 社内での導入はスムーズに進みましたか？

伊藤 様：非常にスムーズでした。ツールのUIが分かりやすく、オペレーターは直感的に操作ができました。そのおかげで、導入の際に実施いただいた操作説明会から、わずか1 週間ほどで本格運用を開始することができました。

− 大変ありがたいお言葉をありがとうございます！

驚異的な導入効果：創出された一人当たり「月間約14時間」の価値、折り返し率「約50％」向上

− サービスの導入で、具体的にどのような効果が現れましたか？

伊藤 様：オペレーターがSMS 送信までに1件につき5分程度かかっていた作業が1分未満になり、一人当たり月間で約14時間、全体で約280時間／月の工数削減に繋がりました。その結果、オペレーターは単純作業のストレスから解放され、これまで手の回らなかった休眠顧客の掘り起こしなど、新たな促進活動ができるようになりました。実際にオペレーターからも「お客様に『日本生命さんからお電話いただいてたんですね』と分かっていただけるようになった」という具体的な声も届いております。
また、Salesforce からSMS 送信を行うことで対応ステータスや送信レポートなどが自動で履歴として残るため、オペレーター自らが対応履歴を残さずとも、顧客対応状況の把握が可能になりました。いまでは継続的な分析や改善策の検討ができるようになりました。
こういった効果の積み重ねを実感できたことで「昨年導入したシステムで最も効果を感じた！」という評価に繋がったのだと思います。

− ありがとうございます。そのほかに変化はありましたか？

伊藤 様：折り返し率が約8%から約12%へと、実に約50％向上しました。
Salesforceに登録されている担当者氏名を入れているので、お客様に安心して認識いただけたことに加え、導入から3ヶ月ほどで現場に運用が定着したこと、またKDDIさんから他社の成功事例を共有してもらい、現場が効果を納得して積極的に活用してくれたことも大きいですね。
定量的な面はもちろんありますが、オペレーターのほとんどの方から「SalesforceにSMS機能が導入されて良かった」と言ってもらえたことが、システム担当としてなにより嬉しかったですね。

− それは素晴らしいエピソードですね！まさにこの取り組みの成果が凝縮されているようです。

活用法と現場の進化：現場主導で活用する30種のテンプレート

− 実際に活用される中で、企画や商品ごとに今では30種類ものテンプレートを使い分けられていると伺い、驚きました。

伊藤 様：はい。これはマネージャー層やリーダー層がスクリプトを改善する中で、「こういう文面のほうがお客様に響くのでは」といった現場オペレーターの声を参考にしながら、作成したものになります。 例えば、資料請求直後の『スピードコール』用、協業他社様からのご紹介リード用、あるいは資産形成総合コンサルティング（生命保険・NISA、iDeco等） といった商品別のアプローチ用など、シナリオに合わせて細かく設定しています。以前は考えられなかったことですが、作業が効率化されたことで、こうした本来やるべき “応対品質の向上”に時間を割けるようになった証だと思います。

未来への展望：データドリブンなアプローチで、「SMS→架電」の新しい流れを

− 最終的な成約率への影響は、今後どのように分析されますか？

伊藤 様：正直なところ、分析はまだまだこれからです。インサイドセールスと全国のフィールドセールスのシステムが別々のため、直接的なデータ連携はこれからの課題ですが、将来的にはこの連携を強化し、SMS アプローチが成約にどう貢献したかしっかりと可視化していきたいと考えています。

− 最後に、今後の展望についてお聞かせください。

伊藤 様：今後は、現在分かれている顧客基盤を統合し、メルマガやLINEといった他のチャネルでの反応とSMS を組み合わせた、よりデータドリブンなアプローチを構想しています。具体的には「特定のメルマガをクリックしたお客様に、後押しとなるSMSを一斉送信し、その反応を見てオペレーターが架電する」といったシナリオです。これまでは「架電→SMS」が基本でしたが、これからは「SMS→架電」という新しい流れも作っていけると考えています。

− 伊藤 様、本日は貴重なお話をありがとうございました。

※本記事に掲載されている情報は、取材時点（2025年7月）のものです。