「お客さまの声」が銀行を変える力に。auじぶん銀行が進める顧客満足度向上と業務改革にSMSが貢献
auじぶん銀行株式会社

- 業種
- 銀行
- 従業員数
- 637名(2025年3月31日現在)
- 取り組み
- 顧客満足度向上と業務改革にSMSが貢献
- 利用用途
- 利用
サービス
「デジタルを駆使する。お客さま視点で考える。そして、期待を超える金融へ。」――このパーパスを胸に、デジタルバンクとしての利便性を追求し続けるauじぶん銀行。顧客中心の姿勢は高く評価され、HDI-Japanから銀行業界初となる「HDI五つ星認証」( 問合せ窓口・Webサポート・モニタリングの3部門)を獲得しています(2024年)。

同行にとって、お客さまとの重要な接点の一つがコンタクトセンターである「お客さまセンター」です。非対面が基本のデジタルバンクにおいて、カウンセラー(オペレーター)とのコミュニケーションは、銀行全体の印象や顧客満足度を左右する生命線ともいえます。
今回、auじぶん銀行はお客さまセンターにおいて、お客さまから直接寄せられたご意見をサービス改善につなげるため、SMS送信サービス「KDDI Message Cast」(以下、KMC)を導入しました。これにより、顧客満足度向上と業務効率化をどのように実現したのか。CS企画部の原田 朋世様と、お客さまセンターの石坂 怜様にお話を伺いました。
<SMS導入による効果・貢献>
- 驚異的なアンケート回答率40%を達成し、これまで届かなかったお客さまの声を収集。
- 電話では直接言いにくいご意見や、「サイレントカスタマー」の声を可視化し、サービス改善の貴重なヒントを獲得。
- 外部委託に比べ低コストかつリアルタイムにVOCを収集し、迅速な応対品質向上サイクルを実現。
- 応対直後のタイムリーな送信によりフィッシング詐欺の懸念を払拭し、お客さまとの信頼関係を強化。
目次
課題:見えにくい「お客さまの真の声」、潜むフィッシングリスク
− 本日はありがとうございます。まず、KMC導入前にお客さまセンターが抱えていた課題について教えていただけますか?

原田 様:私たちは非対面ビジネスが主体ですので、お客さまセンターでのカウンセラーとの接点が、そのまま銀行の印象や信頼に直結し、お客さまの満足度(CS)に大きく影響します。 当社では、お客さまの声(VOC:Voice of Customer)を収集する際、応対したカウンセラーが記録を残すため、カウンセラーの主観が入ってしまうこと、また、応対へのご意見をお客さまから直接仰っていただくことが少ないという課題がありました。これでは、お客さまの客観的で率直なご意見を十分に把握できず、商品・サービスはもちろん、応対品質の向上やカウンセラーの育成においても、具体的な改善点の特定に時間とコストを要していました。

石坂 様:まさにその通りで、どこを改善すればお客さまによりご満足いただけるのか、的確なポイントが見えにくい状況でした。特に近年、社会的にカスタマーハラスメントが問題視される中で、逆にお客さま側がカウンセラーに遠慮してしまい、電話口で直接ご不満を伝えずに黙ってサービスを離れてしまう「サイレントカスタマー」の存在も大きな課題だと感じていました。
原田 様:加えて、巧妙化するフィッシング詐欺メールと当社のSMSを判別できるような対策も必要でした。いかにお客さまに「auじぶん銀行からの正規の連絡だ」と安心していただくか。仮にアンケートをお願いするにしても、メールなど別の手段では不審に思われるリスクがあり、応対直後にお客さまと安全に繋がるコミュニケーション手段が求められていたのです。
KMC導入の決め手:既存システムとの連携性、迅速性、そして信頼性
− 客観的なVOC収集とフィッシングメールと見分けられるという課題に対し、KMCを選ばれた理由は何だったのでしょうか?
原田 様:決め手の一つは、お客さまセンターで既に活用していたSalesforceとのシームレスな連携が可能だった点です。既存の業務フローを大きく変えることなく、SMS送信機能をスムーズに組み込めることは大きな魅力でした。
石坂 様:機能面でも、私たちが「まさに欲しかった」と思えるものが揃っていました。例えば、SMS内のURLにパラメータを付与して効果測定ができる機能など、VOC収集と分析に必要な機能が網羅されていた点もポイントです。
原田 様:そして、フィッシング詐欺メールと見分けられるようにすることも重要視しました。電話応対後、カウンセラーが使用しているSalesforce画面から直接SMSを送信できるため、お客さまに送信許諾を得たうえで応対後5分以内という迅速な送信が可能です。操作もクリック中心で簡単です。このスピード感であれば、お客さまも「さっき電話で話した銀行からの連絡だ」と認識しやすく、安心感と信頼性の向上につながると考えました。

SMSアンケート運用と驚異的な成果:「40%」の高い回答率と安心への工夫
− 実際にKMCをどのように活用されているか、具体的な流れを教えてください。
石坂 様:現在は、お客さまセンターでの電話応対が終了した後、担当カウンセラーがSalesforce画面を操作し、応対に関するアンケートご協力をお願いするSMSを即時送信しています。原則として「応対後5分以内」というルールで運用しており、月によって変動はありますが、月間約1万8,000件前後のSMSを送信しています。(※2024年12月以降、対象を拡大)

アンケート内容は、お客さまに率直なご意見をいただくことを重視し、「今回の応対に関する満足度」とその理由、サービス全般へのご意見などを伺う構成です。回答に応じて設問を分岐させる仕組みも取り入れています。
− そのアンケートの回答率はどれくらいなのでしょうか?

石坂 様:それが、私たちも驚くほど高く、コンスタントに40%前後を維持できています。本当にありがたいことです。
— 40%は驚異的ですね。業界平均と比較しても突出しています。やはり電話応対直後というタイミングが大きいのでしょうか?
石坂 様:はい、電話応対直後のアンケート送付が、この高い回答率につながっている最大の要因だと考えています。現在メールやチャットチャネルでも同様のアンケートを実施しておりますが、メールでのアンケート回答は10%に満たず、チャットでも16%程度でしたので、SMSの効果は明らかです。
− 高い回答率を実現するために、アンケート送信にあたって工夫されている点はありますか?
原田 様:お客さまに安心していただくための工夫は特に重視しています。最も重要なのは、フィッシング詐欺との明確な区別です。そのために、応対中に必ずカウンセラーから「この後、SMSでアンケートをお送りしますので、ご協力をお願いします」と口頭でお伝えしています。当初は確認形式でしたが、よりスムーズなご案内のため簡潔な「言い切り型」に変更しました。もちろん、お客さまが望まれない場合はお送りしません。
石坂 様:送信するSMSの文面も、誰が送っても同じ内容になるよう、シンプルな定型文に統一し、分かりやすさを心がけています。
導入効果:VOCがもたらす品質向上、コスト効率化、そして信頼関係の強化
− 高い回答率を背景に、具体的にどのような導入効果が現れていますか?

原田 様:大きく分けて「応対品質の向上」「コスト削減・業務効率化」「信頼性向上」の3つの効果を実感しています。
まず「応対品質の向上」についてですが、アンケートを通じてお客さまの真の声(VOC)をダイレクトかつ客観的に把握できるようになったことが最大の成果です。以前のカウンセラーの主観的な報告とは異なり、「説明が少し分かりにくかった」「話し方が冷たく感じた」といった具体的なフィードバックを直接いただけるようになりました。
石坂 様:特に、お電話では直接おっしゃりにくいであろう「お叱りの声」を、文章だからこそ伝えていただけるようになったのは非常に大きいです。先ほど申し上げた「サイレントカスタマー」のように、カスタマーハラスメントを懸念して直接的な不満を伝えることを躊躇されるお客さまの貴重なご意見をすくい上げることが可能になりました。件数自体は多くありませんが、厳しいご意見の中にこそ、改善につながる重要なヒントが隠されています。
原田 様:もちろん、厳しいご意見だけでなく、「ありがとう、本当に助かりました」といった温かいお言葉も数多く寄せられます。こうしたポジティブな声が、カウンセラーの日々のモチベーション向上にも大きく貢献していると感じます。
石坂 様:いただいたご意見は毎日確認し、改善が必要なものは担当したカウンセラーへ迅速にフィードバックしています。実際の応対記録(音声)を聞きながら一緒に振り返ることで、個々のカウンセラーが抱える課題が明確になり、より的を絞った効果的な教育・指導が可能になりました。これにより、俯瞰的な視点での品質モニタリングも実現しました。
− 素晴らしいですね。「業務効率やコスト」の面ではいかがでしょうか?
石坂 様:Salesforce連携によりSMSの送信作業は増えましたが、SMS送信操作をシンプルにすることで非常にスムーズにSMSを送信することができ、ACW(電話応対後の後処理時間)が大幅に増加することはありませんでした。 何より、外部のアンケート専門業者に委託する場合と比較して、圧倒的に低コストながら大量の回答データを収集可能です(月間7,500件ほど)。さらに、外部委託では結果の集計に1ヶ月ほど要する場合もありますが、SMSならリアルタイムにお客さまの声を把握できます。このスピード感とコスト効率は、外部委託では実現困難だったと思います。
原田 様: そして「信頼性向上」の点では、やはり応対直後にSMSが届くことで、お客さまに「正規の連絡だ」と安心していただきやすくなったと実感しています。お客さまもフィッシング詐欺メールと明確に判別することができるので、期待していた効果がしっかりと出ています。

今後の展望:同じ課題を持つ企業へのメッセージ
− 最後に、auじぶん銀行様と同じような課題をお持ちの企業様に向けて、一言メッセージをお願いできますでしょうか。
原田 様:はい。SMSを活用してお客さまにアンケートをご依頼した結果、想像以上に多くのお客さまから直接的なご意見をいただくことができました。これらの貴重なご意見・ご要望を真摯に受け止め、今後もさらなる応対品質の向上やサービスの改善に努めてまいります。
− 本日は貴重なお話をありがとうございました。auじぶん銀行様の顧客中心の姿勢を、KDDI Message Castが少しでも支えられていることを大変光栄に思います。今後のさらなる活用に期待しております。
