業種:EC業界

EC市場の拡大に伴い、新規顧客を獲得するための広告費は年々高騰しています。このような状況下で、安定した事業成長を遂げるために不可欠な指標が「LTV(Life Time Value/顧客生涯価値)」です。LTVとは、一人の顧客が取引を開始してから終了するまでの期間に、自社にもたらしてくれる利益の総額を指します。

新規顧客に一度購入してもらうだけで終わるのではなく、二度、三度と購入を重ねるリピート顧客、さらにはブランドのファンになってもらうこと。これこそがLTVを高め、ECビジネスを成功に導く鍵となります。

そして、その実現には、購入後の顧客との計画的なコミュニケーションが欠かせません。この記事では、SMSとRCSを活用し、お客様をファンへと育成するための「コミュニケーションロードマップ」を時系列で具体的に解説します。

すべての始まりは「購入直後」にあり:SMSで届ける確実な安心感

お客様が購入ボタンを押し、最も期待と少しの不安が入り混じっている瞬間、それが「購入直後」です。このタイミングで「ご注文ありがとうございます」「商品を発送しました」という通知をいかに確実に届けられるかが、最初の信頼を築く上で極めて重要になります。

最適なツール:SMS(ショートメッセージサービス)

メールでは他のメッセージに埋もれてしまう可能性がありますが、携帯電話番号に直接届き、開封率が80%以上と非常に高いSMSなら、重要な通知を見逃される心配がありません。この確実な一手間が、お客様に「このストアは信頼できる」という最初の好印象を与えます。

ステップ1:満足度を高める「体験フォロー」フェーズ(商品到着後)

商品がお客様の手元に届いてからが、本当の関係構築のスタートです。ただ商品を届けて終わりにするのではなく、一歩踏み込んだフォローアップを行いましょう。

  • 施策例:「商品はいかがでしたか?」というシンプルな気遣いのメッセージ、商品の効果的な使い方を伝えるヒントの提供、満足度アンケートやレビューのお願いなど。
  • 最適なツール:SMSまたはRCS
    簡単な声掛けであればSMSが手軽です。もし、化粧品の使い方や組み立て家具の説明など、視覚的な情報が有効な場合は、「RCS(リッチコミュニケーションサービス)」の出番です。RCSは、SMSと同じ電話番号を宛先としながら、高画質な画像や動画を送ることが可能です。お客様にアプリをインストールしてもらう手間なく、メッセージ上で商品の使い方を動画で案内できれば、顧客満足度の飛躍的な向上が期待できます。

ステップ2:次の購入を自然に促す「クロスセル」フェーズ(購入から約1ヶ月後)

お客様が商品の良さを実感し始めた頃合いを見計らって、次の購入に繋がる提案を行います。ここでのポイントは、誰にでも同じ情報を送るのではなく、購入履歴に基づいた「あなたへのおすすめ」を提示することです。

  • 施策例:購入したワンピースに合うカーディガンを提案する、購入したカメラの交換レンズを紹介するなど。
  • 最適なツール:RCS(リッチコミュニケーションサービス)
    RCSの「カルーセル」機能は、このクロスセル施策に最適です。カルーセルとは、複数の商品画像と説明を横にスライドして見せられるカタログのような機能です。お客様はメッセージアプリを離れることなく、次々と関連商品をチェックし、気に入ればボタン一つで商品ページへ飛ぶことができます。この滑らかな購買体験が、自然な「合わせ買い」や「次の購入」を促します。

ステップ3:関係性を維持する「エンゲージメント」フェーズ(継続的に)

一度きりの関係で終わらせないためには、定常的なコミュニケーションでブランドを思い出してもらう仕組みが必要です。

  • 施策例:お客様の誕生日に合わせたバースデークーポンの送付、しばらく購入のないお客様(休眠顧客)への特別な呼びかけなど。
  • 最適なツール:SMSまたはRCS
    「〇〇様限定クーポン」といったテキストベースの特別感を演出するならSMSが有効です。さらにリッチな体験を提供したい場合は、RCSでお祝いのメッセージカードのような画像を送り、お客様との心理的な距離を縮めることもできます。

このロードマップを実現する「KDDI Message Cast」

この計画的なコミュニケーションロードマップを実現するためには、それを支えるツールが不可欠です。KDDIグループが提供する法人向けメッセージ送信サービス「KDDI Message Cast」は、LTV向上を目指すEC事業者様にとって強力なパートナーとなります。

RCSとSMSの「自動フォールバック」で確実な到達を実現

KDDI Message Castは、RCSでの配信を試み、もしお客様が受信できない環境(非対応の端末や回線など)の場合は、自動的にSMSに切り替えて送信する「フォールバック機能」を備えています。これにより、ロードマップのどの段階においても、メッセージの不達を心配する必要がありません。

リッチな表現も、シンプルな管理画面で簡単に

本記事で紹介したRCSのカルーセルや動画送信も、専門知識不要の直感的な管理画面で簡単に入稿できます。施策のアイデアをすぐに形にすることが可能です。

スモールスタートで始められる料金体系

初期費用・月額費用は0円。送信した分だけの従量課金制なので、まずは購入直後のサンキューSMSから、といった形でリスクなく始めることができます。

まとめ

LTVの向上は、一朝一夕には実現しません。購入直後の安心感の提供から始まり、体験のフォロー、次の提案、そして継続的な関係維持へと、お客様のステージに合わせた計画的なコミュニケーションを積み重ねることが不可欠です。SMSとRCS、そしてそれらを支えるKDDI Message Castを羅針盤として、お客様がファンになる航海へ出発してみてはいかがでしょうか。