営業におけるAI活用術11選!目的や導入の流れ、活用事例を徹底解説

ビジネスを取り巻く環境は常に変化しており、近年特に注目されているのが生成AIの進化とその活用です。多くの企業がこの新しい技術の導入を進めており、中でも企業の売上に直結する営業活動において、AIの活用は喫緊の課題となっています。
この記事では、営業領域でAIを導入する目的や、どのような場面でAIが役立つのか、そして導入を成功させるための具体的なステップと注意点について解説します。
目次
営業におけるAIを活用できる業務とは?

営業活動には多岐にわたる業務がありますが、AI(特に生成AI)は、これらの業務を効率化したり、より高度なレベルに引き上げたりする可能性を秘めています。ここでは、営業活動でAIを活用できる具体的な業務を11個ご紹介します。
情報収集・分析
市場動向や競合に関する情報を迅速に収集・分析し、営業戦略の立案に役立てることが可能です。AIは膨大なデータから傾向や関連性を見つけ出し、人が気づきにくい示唆を提供してくれます。これにより、より的確な情報に基づいた商談準備や意思決定が行えるようになります。
ターゲット顧客の特定
過去の取引データや顧客データをAIが分析することで、成約確度の高い顧客や、アップセル・クロスセルの可能性のある顧客を特定できます。また、解約予兆のある顧客を早期に検知し、先回りしてフォローアップを行うことも可能です。AIによる精度の高いターゲティングは、営業効率と成果の向上に直結します。
メール・文書作成
顧客の状況や問い合わせ内容に応じたメール返信文や、提案資料のドラフト作成を生成AIが支援します。テンプレートに沿った定型的な文書作成だけでなく、複雑な内容を含む文書の作成効率も大幅に向上するため、営業担当者はより付加価値の高い業務に時間を充てられるようになります。
トークスクリプト(台本)・Q&A作成
商談時に想定される質問への回答や、顧客との会話の流れを想定したトークスクリプトの作成・改善にAIを活用できます。また、FAQやヘルプデスクの応答内容を元にした、顧客対応時の音声やテキスト回答の自動生成も可能です。これにより、担当者の対応スキルを平準化し、顧客満足度の向上を目指せます。
契約・商談の成功/失敗要因分析
過去の契約に至った商談や失注した商談のプロセス、および関連データをAIが分析することで、何が成功に繋がり、何が失敗の原因だったのかを定量的に把握します。この分析結果は、個々の営業担当者の改善点を見つけるだけでなく、組織全体の営業戦略やトレーニング内容の見直しにも活かすことができます。
カスタマーサクセスにおける活用
顧客の継続的な成功を支援するカスタマーサクセス活動においても、AIは重要な役割を果たします。AIが顧客の利用状況やエンゲージメントの度合いなどを分析し、解約予兆などのリスクを早期に検知したり、適切なフォローアップが必要な顧客を特定したりします。また、FAQ応答の自動化など、顧客からの問い合わせ対応の効率化にも貢献します。
非対面顧客対応
企業のWebサイトやSNSにおける顧客からの問い合わせに対し、AIチャットボットや自動応答システムを活用して自動対応を行うことが可能です。特に頻繁に寄せられる定型的な質問(FAQ)への対応をAIに任せることで、人的コストを大幅に削減し、担当者の負担を軽減できます。顧客は時間や場所を問わず必要な情報を得られるようになります。
社内ナレッジ共有・活用支援
SFAなどに蓄積された営業活動の履歴データや、過去の提案事例、ノウハウといった社内ナレッジをAIが分析し、必要な情報を営業担当者にレコメンドします。これにより、担当者は効率的に必要な情報を参照でき、提案内容の質を高めることができます。経験の浅い担当者の育成にも繋がります。
営業関連業務の自動化・効率化
AIエージェントを活用することで、事前に定義された複数の業務プロセスを連携させたり、AIが自ら最適な手順を判断して自動実行させたりすることが可能になります。これにより、データ入力や報告書作成といった定型的な事務作業を自動化し、営業担当者が本来注力すべき顧客との関係構築や戦略立案に時間をかけられるようになります。
新規事業・市場開拓支援
AIによる高度なデータ分析は、既存事業における顧客ニーズの深掘りや、潜在的な市場機会の発見に貢献します。これにより、新たな商品・サービスの企画開発に役立つ示唆を得たり、これまでアプローチできていなかった顧客層への営業戦略を立案したりすることが可能となり、新規事業や市場開拓を促進します。
文書のチェック・校正
作成した契約書や提案書、メールなどの文書について、誤字脱字、文法ミス、表現の不適切さなどをAIが自動でチェックし、校正を支援します。これにより、ヒューマンエラーによる品質低下を防ぎ、プロフェッショナルな文書作成をサポートします。特に大量の文書を作成する機会が多い営業活動において有効な活用方法です。
営業におけるAIの活用事例5選
実際にAIを営業活動に導入し、成果を上げている企業の事例をいくつかご紹介します。
もみじ銀行
株式会社野村総合研究所と共同でAIを活用した営業DXの実証実験を行いました。SFA(Sales Force Automation)に蓄積された交渉履歴データをAIが分析し、顧客の経営課題に対する解決策や過去の対応事例をレコメンドすることで、顧客支援や顧客満足度向上を目指しています。
参考:株式会社野村総合研究所とのAIを活用した営業DX推進の実証実験開始について ~AIでSFA内の交渉履歴データから解決策と対応事例をレコメンド~
https://www.momijibank.co.jp/portal/news/assets_news/news_20220826_3.pdf
エレコム株式会社
顧客訪問と売上の相関分析において、膨大なデータ量により従来のBIツールでは分析に限界が生じ、AI活用が検討されました。AIは「途方もない数の組合せを検討」する際に必要とされ、データに基づいた営業力強化を模索しています。
参考:エレコム株式会社 顧客訪問と売上げの相関をデータで解明 AIによる営業力強化で新市場を切り拓く
https://jp.dotdata.com/resources/case-study/how-elecom-leverages-ai-for-sales/
えひめ洋紙株式会社
愛媛県の「CONNECTえひめ」事業を活用し、生成AIによる営業活動の強化を検討しました。特に、顧客ニーズの深掘りやプレゼン準備における「商談の質の向上」を目指し、生成AIを活用したトークスクリプト作成に取り組みました。
参考:営業力強化による商談の質の向上への挑戦
https://connect-ehime.com/assets/images/case/push/ehime-youshi.pdf
株式会社メタリアル
新聞広告営業部門向けに、新聞広告に加えてWebやSNSを含むハイブリッド効果測定や、読者データ、広告出稿トレンド、競合状況の一体的な分析が可能な提案支援AIエージェント「Metareal AD」を提供しています。これは、非デジタル商材においてもデータドリブンな営業活動を可能にするツールです。
参考:【メタリアル・グループ】新聞広告営業部門専用提案支援 AI エージェント「Metareal アドバタイジング(Metareal AD)」5/2 提供開始
https://www.metareal.jp/download/2025050205.pdf
ナレッジスイート株式会社
営業DXを推進するため、AIを活用した類似企業抽出エンジン「GRIDY AIリード」を提供しています。これは、特定の企業(アカウント)を対象とするABM(アカウント・ベースド・マーケティング)の実践を支援し、効率的に高確度なリードを獲得することを目的としています。
参考:類似企業抽出エンジン『GRIDY↗AIリード』~営業DXで活動量と効率を上げる~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000124.000015785.html
これらの事例は、AIがデータ分析、レコメンド、自動化、コンテンツ作成支援など、様々な形で営業活動を支援し、具体的な成果につながる可能性を示しています。
営業活動で生成AIの活用がおすすめなシーン


生成AIは、従来のAIが得意としてきた「識別」や「予測」に加え、「創造」や「生成」を得意としています。この特性を活かすことで、営業活動における様々なシーンで効果を発揮します。
情報収集と分析の効率化
生成AIは、インターネット上の情報や社内データベースから必要な情報を収集し、要約したり分析したりすることができます。特定の業界動向、競合企業の最新情報、顧客企業のニュースなどを迅速に把握し、報告書のドラフト作成やプレゼン資料の構成案作成に役立てることが可能です。
メール作成や提案資料準備の支援
顧客へのメール作成、アプローチ文面の検討、提案資料の骨子作成などにおいて、生成AIが適切な文脈に基づいた文章やアイデアを生成します。これにより、ゼロから作成するよりも短時間で質の高いドラフトを作成でき、パーソナライズされたメッセージの作成も容易になります。
顧客コミュニケーションの効率化(チャットボット等)
顧客からの定型的な問い合わせに対して、チャットボットとして生成AIを活用することで自動応答が可能になり、カスタマーサポートの業務負担を大幅に軽減できます。双方向SMSに対応したサービスと連携すれば、SMSでの自動応答も実現できます。
ルーチン業務の自動化・下書き作成
アポイント調整メールの送信、議事録の要約、日報・週報のドラフト作成など、定型的かつ反復的なルーチン業務の一部を生成AIに任せることで、担当者の作業時間を削減できます。
商談におけるレコメンデーションや提案支援
SFAなどに蓄積された過去の商談データや顧客情報に基づき、AIが次の商談で話すべき内容や顧客に最適な解決策、関連する成功事例などをレコメンドします。これにより、営業担当者はより効果的な商談準備ができ、提案の質を高めることができます。
クリエイティブなコンテンツ作成支援
マーケティング部門と連携し、顧客への送付物や広告に使用するキャッチコピー、SNS投稿文、簡単なバナー画像などのクリエイティブコンテンツのアイデア出しやドラフト作成に生成AIを活用できます。これは、従来のAIには難しかった生成AIならではの活用シーンです。
これらのシーンで生成AIを活用することで、営業活動の様々な側面で効率化と質的向上を目指すことができます。
営業活動にAIを導入する目的とは?
営業活動にAIを導入する目的は多岐にわたりますが、主に以下の3つが挙げられます。AIを活用することで、これらの目的達成に向けた取り組みを強力に推進できます。
業務効率化と負担軽減
営業活動には、顧客情報収集・分析、メール作成、資料準備、日程調整、報告書作成など多岐にわたる業務が存在し、定型的・反復的な作業も少なくありません。AI導入により、これらの作業を自動化・効率化し、営業担当者はより高度な戦略立案や商談に集中できるようになることで、業務全体の効率化と担当者の負担軽減が実現されます。
顧客対応の質と顧客満足度の向上
現代の営業は、単に製品・サービスを販売する「モノ売り」から、顧客の課題解決を支援する「コト売り」へと質的に変化しており、顧客一人ひとりのニーズや状況に合わせた提案を行うことが重要ですが、営業担当者の経験やスキルに依存しがちです。AIは、顧客データや商談履歴を分析し、最適な情報提供や個別メッセージ作成を支援します。また、迅速かつ的確な問い合わせ対応も可能となり、これにより顧客体験や顧客満足度の向上につながります。
売上向上と競争力強化
AIは過去データから成約パターンや成功要因を分析し、「勝ちパターン」を導き出すことができます。潜在顧客(リード)の発見や、既存顧客への最適なアプローチ時期の予測も可能となり、これにより、営業担当は確度の高い顧客へ効果的にアプローチでき、成約率向上と売上増加、ひいては競争力強化に繋がります。
営業活動にAIを導入する流れ


AIを営業活動に導入する際は、以下のステップで進めることが推奨されます。特に中小企業においては、スモールスタートで成功体験を積むことが重要です。
ステップ1:導入目的の明確化と課題特定
まず、AI導入の目的(例:特定の業務の効率化、顧客満足度向上など)を具体的に設定し、現在の営業プロセスにおける具体的な課題(例:メール作成に時間がかかる、適切な提案方法が分からないなど)を特定します。曖昧な目的では、期待する効果が得られない可能性があります。
ステップ2:小規模なプロジェクトでの試行(PoC)
特定の業務や限定されたチームでAIツールの試行(PoC: Proof of Concept、概念実証)を行います。これにより、実際の現場での有効性や実現可能性を検証し、本格導入に向けた課題や改善点を見つけ出します。最初から大規模な導入を目指すのではなく、小さな成功を積み重ねることが重要です。
ステップ3:必要なデータの準備と環境構築
AIの効果を最大化するためには、質の高いデータが不可欠です。過去の商談データ、顧客情報、コミュニケーション履歴など、AIが学習・分析するために必要なデータを整備し、データにアクセスできる環境を構築します。必要に応じて既存システムとの連携も検討します。
ステップ4:AIツールの導入と検証
PoCで効果が確認できたら、選定したAIツールを本格的に導入します。導入後は、設定した目的に対してどの程度効果があったかを定量的に検証し、改善点があればツールベンダーや社内担当者と連携して調整を行います。
ステップ5:運用定着化と継続的な改善
AIツールを営業担当者が日常的に活用できるよう、操作研修や活用サポートを実施し、現場への定着を図ります。AIは学習を重ねることで精度が向上するため、定期的に利用状況や効果を評価し、データを追加したり設定を見直したりすることで、継続的な改善を目指します。導入ノウハウを社内に蓄積することも重要です。
営業でAIを活用する際の注意点
AIを営業活動に導入・活用する際には、その効果を最大限に引き出すために、いくつかの注意点があります。
AIへの過度な期待と機能・効果の正しい理解
AIは万能でなく、できること・できないことを正しく理解することが重要です。特に生成AIは、学習データに基づいてもっともらしい情報を生成しますが、誤りや偏りを含む可能性もあります。生成された情報を鵜呑みにせず、必ず人間が内容を確認・修正する必要があります。AIはあくまで営業担当者の「アシスタント」であり、人間の判断や経験が不可欠であることを忘れてはなりません。
データ収集と人材育成の重要性
AIはデータがなければ効果を発揮できません。質の高いデータを継続的に収集・蓄積できる体制を構築する必要があります。また、AIツールを使いこなし、その示唆を営業活動に活かせる人材の育成も重要です。AIに関する知識を持つ人材はITベンダーに偏在している傾向があるため、社内での勉強会や外部研修などを通じて、担当者のリテラシー向上に計画的に取り組むことが成功の鍵となります。
法人向けSMS送信サービスなら「KDDI Message Cast」
顧客とのコミュニケーションにおいて、メールや電話、チャットなど多様な接点が存在する中で、到達率90%以上のSMSは、重要なコミュニケーション手段となり得ます。しかし、個別顧客へのSMS送信は運用負担が大きいという課題もあります。
KDDIが提供する法人向けSMS送信サービス「KDDI Message Cast」には、「KDDI Message Cast for Salesforce AI 拡張オプション」があります。これは、「KDDI Message Cast for Salesforce」に追加でインストールすることで、SalesforceのAIエージェント「Agentforce」と連携し、AIとSMSの相乗効果でSMS送信業務の効率化や顧客対応の質の向上を実現するアプリケーションです。
このAI拡張オプションを活用することで、Salesforce上の顧客データをもとにAIが最適なメッセージを自動生成し、Salesforceフローと連携させることで、顧客の行動に合わせた最適なタイミングでのSMS自動送信が可能になります。さらに、AIは送受信履歴を学習することで回答精度を向上させるため、顧客対応の質も継続的に改善されていきます。
「KDDI Message Cast for Salesforce AI 拡張オプション」はSalesforce AppExchangeから無料でインストールできます。SMS活用に課題を感じている方は、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
参考:KDDI Message Cast for Salesforce AI 拡張オプション
https://kddimessagecast.jp/service/option/agentforce/
まとめ


営業活動におけるAI活用は、単なる効率化に留まらず、業務負担の軽減、顧客対応の質向上、そして売上向上に貢献する強力な手段です。生成AIの登場により、メッセージ作成や提案支援といった、より創造的な側面でのAI活用も進んでいます。AI導入を成功させるためには、目的を明確にし、スモールスタートで試行錯誤を重ねながら、必要なデータの整備や人材育成にも継続的に取り組むことが重要です。
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