建設DXとは?導入メリットや課題は?DX化の進め方や事例を紹介

建設業界では、労働生産性の低さや人材不足といった深刻な課題に直面しています。これらの課題を解決する手段として注目されているのが「建設DX」です。
本記事では、建設DXの基本から導入メリット、具体的な進め方、そして実際の活用事例までを詳しく解説します。建設業のDX化を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。
目次
そもそも建設DXとは

建設DXとは、建設業界におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)を指します。デジタル技術を活用することで、業務プロセスの効率化、生産性向上、働き方改革を実現する取り組みです。
DXとは何か
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を活用してビジネスモデルや業務プロセスを変革し、企業の競争力を高める取り組みを指します。単なるIT化やデジタル化ではなく、組織全体の変革を伴う点が特徴です。
経済産業省が2018年に発表した「DX推進ガイドライン」では、DXを「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と定義しています。
建設業のDX化が進まない理由
建設業界は他業界と比較してDX化が遅れている現状があります。DX White Paper 2023によると、建設業でDXの意味を理解し取り組んでいる企業はわずか11.4%で、他業界と比較して低い水準にあります。約80%の建設企業がDXを実装していないという調査結果も出ています。
DX化が進まない主な理由として、以下が挙げられます。
まず、建設業界特有の複雑な下請け構造があります。元請け、一次下請け、二次下請けといった多層構造の中で、情報共有やシステム統一が困難になっています。
次に、現場作業が中心の業務形態です。オフィスワークと異なり、現場での作業が主体となるため、デジタルツールの導入や活用に課題があります。
また、高齢化による新技術への抵抗感も要因の一つです。建設業界は高齢化が進んでおり、ベテラン技術者の中にはデジタル技術に不慣れな方も多く、新しいツールの導入に抵抗感を持つケースがあります。
さらに、初期投資の負担も大きな障壁となっています。DX化には一定の初期投資が必要となるため、特に中小企業にとっては導入のハードルが高くなっています。
建設業界においてDXが注目される背景
建設業界でDXが注目される背景には、業界が抱える構造的な課題があります。
少子高齢化による労働人口の減少は、建設業界に深刻な影響を与えています。技能労働者の高齢化が進み、若年層の入職者が減少する中で、限られた人材でいかに生産性を高めるかが喫緊の課題となっています。
また、長時間労働の是正も重要なテーマです。2024年4月から建設業にも時間外労働の上限規制が適用されており、働き方改革を進めながら生産性を維持・向上させる必要があります。
さらに、国際競争力の強化も求められています。海外の建設企業がデジタル技術を積極的に活用する中、日本の建設業界も国際競争力を維持・向上させるためにDX化が不可欠となっています。
国も建設業のDX化を強力に推進しています。国土交通省が主導する「i-Construction」をはじめ、様々な施策が展開されており、業界全体でDX化の機運が高まっています。
建設業の特徴と課題

建設業界が抱える主な課題を見ていきましょう。
労働生産性が極めて低い
建設業の労働生産性は、製造業をはじめとする他産業と比較して極めて低い水準にあります。
国土交通省の資料によると、建設業の労働生産性は全産業平均を大きく下回っています。現場での作業が中心であり、天候に左右されやすい、一品生産である、作業場所が移動するといった建設業特有の制約が生産性向上の障壁となっています。
また、紙ベースの業務プロセスが多く残っており、図面の確認、工程管理、報告書作成などに多くの時間が費やされています。デジタル化によってこれらの業務を効率化できる余地が大きくあります。
参照:5. 生産性と技術開発 | 建設業の現状 | 日本建設業連合会
人材不足
建設業界は深刻な人材不足に直面しています。
一般社団法人日本建設業連合会の調査によると、建設技能労働者は2025年には約93万人不足すると予測されています。団塊世代の大量退職と若年層の入職者減少により、人材不足はさらに加速すると見られています。
若年層の建設業離れも深刻です。3K(きつい、汚い、危険)のイメージが根強く、若者にとって魅力的な職場として認識されにくい状況があります。働き方改革やデジタル技術の活用により、業界のイメージを刷新することが求められています。
高齢化が顕著
建設業界の高齢化は他産業と比較しても顕著です。
建設技能労働者の約3分の1が55歳以上であり、29歳以下は約1割程度に留まっています。今後10〜20年で大量退職が見込まれており、技能の継承が喫緊の課題となっています。
高齢化が進むことで、重労働への対応が困難になり、労働災害のリスクも高まります。ロボットやAIといったデジタル技術を活用し、身体的負担を軽減する取り組みが必要です。
技術継承問題
ベテラン技術者が持つ暗黙知や経験知を若手に継承することは、建設業界の大きな課題です。
従来の建設業では、現場での実践を通じて技能を習得する「見て覚える」文化が根付いていました。しかし、人材不足により十分な教育時間が確保できず、また若手の入職者減少により、技術継承の機会そのものが減少しています。
デジタル技術を活用することで、ベテラン技術者の知見をデータとして蓄積し、若手技術者が効率的に学習できる環境を整備することが可能になります。
参照:建設技能労働力の確保に関する調査報告書|平成19年3月 社団法人 建設産業専門団体連合会
下請け構造の問題
建設業界特有の多層下請け構造は、情報共有やコミュニケーションの障壁となっています。
元請け、一次下請け、二次下請けといった複数の企業が関わる中で、情報伝達の遅れや誤りが発生しやすくなっています。紙ベースの連絡手段では、重要な情報が末端まで正確に伝わらないリスクがあります。
デジタル技術を活用することで、リアルタイムでの情報共有が可能になり、関係者全員が常に最新の情報にアクセスできる環境を構築できます。
建設DXの導入メリット
建設DXを導入することで、様々なメリットが得られます。
関連リンク:DX化とIT化やIoT・ICTの違いとは?DX化のメリットや課題について解説
業務の効率化
デジタル技術を活用することで、業務プロセスの大幅な効率化が実現します。
図面や工程表のデジタル化により、情報の検索や共有が容易になります。現場での作業指示、進捗確認、報告といった一連の業務をデジタル化することで、移動時間や事務作業時間を削減できます。
また、BIM/CIMを活用した3次元モデルによる設計・施工により、事前のシミュレーションが可能になり、手戻りや無駄な作業を減らすことができます。
関連リンク:DX推進が業務効率化に繋がるのはなぜ?重要性や成功事例をご紹介
技術継承
デジタル技術を活用することで、ベテラン技術者の知見を効果的に継承できます。
作業手順や判断基準をデジタルデータとして記録・蓄積することで、属人化していた知識を組織の財産として活用できるようになります。AR(拡張現実)やVR(仮想現実)を使った教育システムにより、若手技術者が安全かつ効率的にスキルを習得できる環境を整備できます。
また、AIによる画像解析や異常検知により、ベテラン技術者の勘や経験に頼っていた品質管理を標準化することも可能です。
過重労働問題の解消
DX化により、長時間労働の削減と働き方改革を実現できます。
作業の自動化やロボットの活用により、重労働や危険作業から人を解放し、身体的負担を軽減できます。デジタルツールによる業務効率化により、残業時間を削減し、ワークライフバランスの改善が可能になります。
また、リモートでの現場監視や遠隔作業支援により、現場に常駐する必要が減り、移動時間の削減や柔軟な働き方が実現します。これにより、建設業界のイメージ改善にもつながり、若手人材の確保にも寄与します。
建設DX推進に向けた国の取組事例

国土交通省を中心に、建設DX推進に向けた様々な取り組みが展開されています。
i-Construction
i-Constructionは、国土交通省が2016年から推進している建設現場の生産性向上を目指す取り組みです。
ICT(情報通信技術)を全面的に活用し、調査・測量から設計、施工、検査、維持管理・更新までのあらゆるプロセスでデジタル化を進めることで、建設生産システム全体の生産性向上を図ります。
具体的には、ドローンを活用した3次元測量、3次元設計データの活用、ICT建設機械による施工、3次元データを用いた検査などが推進されています。これにより、従来の2次元図面ベースの施工から、3次元データを活用した効率的な施工への転換が進んでいます。
i-Constructionの導入により、工期の短縮、コスト削減、安全性の向上といった効果が報告されています。
詳細は国土交通省のi-Construction公式サイトをご覧ください:https://www.mlit.go.jp/tec/i-construction/index.html
インフラDX 総合推進室の発足
国土交通省は2020年7月に「インフラDX 総合推進室」を発足させ、社会資本整備分野全体のDXを推進しています。
インフラDXは、国土交通省が所管するインフラ分野においてデジタル技術を活用し、国民生活の質の向上、経済成長、安全・安心の確保を図る取り組みです。
具体的には、BIM/CIMの活用推進、3次元データの統合活用、デジタルツインの構築、AI・ロボット技術の実装などが進められています。これにより、インフラの計画・調査・設計から施工、維持管理までの一連のプロセスでデータを活用し、生産性向上と高度化を実現します。
インフラDXの推進により、老朽化するインフラの効率的な維持管理、災害対応の迅速化、建設現場の安全性向上などが期待されています。
建設DXで用いられる技術とは?

建設DXを実現するための主要な技術を紹介します。
BIM/CIM
BIM(Building Information Modeling)/CIM(Construction Information Modeling/Management)は、建設プロジェクトのライフサイクル全体を通じて3次元モデルと情報を統合管理する技術です。
従来の2次元図面では表現しきれなかった情報を3次元モデルに集約することで、設計段階での問題点の早期発見、施工シミュレーション、工程管理の最適化が可能になります。
BIM/CIMを活用することで、設計変更の影響を即座に確認できるため、手戻りの削減やコスト管理の精度向上が実現します。また、関係者全員が同じ3次元モデルを参照することで、認識のずれを防ぎ、円滑なコミュニケーションが可能になります。
維持管理段階でもBIM/CIMデータを活用することで、建物や構造物の情報を一元管理し、効率的なメンテナンスが可能になります。
BIM/CIMの詳細については、国土交通省近畿地方整備局豊岡河川国道事務所のサイトをご覧ください:https://www.kkr.mlit.go.jp/toyooka/bimcim/05_whatbimcim.html
ドローン
ドローンは建設現場の測量、点検、進捗管理において重要な役割を果たしています。
従来は人が直接行っていた測量作業をドローンで代替することで、作業時間を大幅に短縮できます。特に広範囲の測量や、人が入りにくい危険な場所での作業において、ドローンの活用は安全性と効率性の両面でメリットがあります。
また、ドローンによる空撮データをAI解析することで、工事の進捗状況を正確に把握し、予定との差異を早期に発見できます。定期的にドローン撮影を行うことで、工事の進捗を時系列で記録・管理することも可能です。
構造物の点検においても、ドローンは有効です。橋梁や高層建築物など、人が直接点検することが困難な箇所でも、ドローンによる高解像度撮影により、ひび割れや劣化状況を確認できます。
AI(人工知能)
AI技術は建設業界の様々な場面で活用されています。
設計段階では、AIが過去のプロジェクトデータを学習し、最適な設計案を提案することが可能です。また、AIによる需要予測により、資材の発注量や工程計画を最適化できます。
施工段階では、AIによる画像解析により、コンクリートのひび割れや鉄筋の配置不良などを自動検出し、品質管理の精度を向上させることができます。ベテラン技術者の判断基準をAIに学習させることで、経験の浅い技術者でも高品質な判断が可能になります。
安全管理においても、AIによる映像解析により、作業員の危険な行動を検知し、事故を未然に防ぐシステムが開発されています。
クラウドサービス
クラウドサービスは、建設現場でのデータ共有とコラボレーションを実現する基盤技術です。
クラウド上でデータを一元管理することで、元請け、下請け、設計事務所など、プロジェクトに関わる全ての関係者がリアルタイムで最新情報にアクセスできます。現場で撮影した写真や図面、工程表などを即座に共有することで、情報伝達のスピードと精度が向上します。
モバイル端末とクラウドサービスを組み合わせることで、現場作業員が事務所に戻ることなく、現場から直接情報を入力・参照できるようになります。これにより、移動時間や事務作業時間を削減し、業務効率を大幅に向上させることができます。
建設業界におけるデジタルコミュニケーションの手段として、SMSも有効です。工事日程の調整や緊急連絡など、確実に情報を届けたい場面でSMSは高い到達率を発揮します。SMSを活用したコミュニケーション戦略については、こちらの記事をご覧ください:https://kddimessagecast.jp/blog/sms/sms_marketing/
3次元モデルデータ
3次元モデルデータは、BIM/CIMの基盤となる技術であり、建設プロジェクト全体を通じて活用されます。
設計段階では、3次元モデルにより建物や構造物の形状を視覚的に確認でき、設計ミスの早期発見が可能になります。施工段階では、3次元モデルをICT建設機械に読み込ませることで、設計通りの精度での施工が実現します。
また、3次元モデルデータを活用することで、施工前に干渉チェックや施工シミュレーションを行い、現場での問題を事前に解決できます。これにより、工期の短縮とコスト削減が可能になります。
ディープラーニング
ディープラーニングは、AIの一種で、大量のデータから特徴を自動的に学習する技術です。
建設業界では、構造物の劣化診断、品質検査の自動化、作業員の安全管理など、様々な場面でディープラーニングが活用されています。
例えば、コンクリート構造物の点検では、ディープラーニングによる画像解析により、ひび割れの検出と分類を自動化できます。人による点検では見落としがちな微細なひび割れも検出できるため、点検精度が向上します。
また、ディープラーニングを活用した作業員の動作解析により、危険な作業姿勢や不安全行動を検知し、労働災害を予防するシステムも開発されています。
建設DX化の進め方
建設DXを効果的に推進するためのステップを解説します。
DXで解決すべき課題を洗い出す
DX化を進める前に、まず自社が抱える課題を明確にすることが重要です。
現場作業員、管理者、経営層それぞれの立場から課題を収集し、優先順位をつけます。例えば、「図面の管理に時間がかかる」「現場と事務所の情報共有が遅い」「熟練技術者の技能継承ができていない」といった具体的な課題を洗い出します。
課題を洗い出す際には、現場の声をしっかりと聞くことが重要です。管理職や経営層が感じる課題と、現場作業員が実際に困っていることには差がある場合があります。全員の声を集約することで、真に解決すべき課題が見えてきます。
DXの目的を明確化する
課題を洗い出したら、DX化によって達成したい目的を明確に設定します。
目的は具体的かつ測定可能な形で設定することが重要です。例えば、「残業時間を月平均20時間削減する」「施工ミスを50%削減する」「若手技術者の育成期間を30%短縮する」といった数値目標を設定します。
目的を明確にすることで、DXツールの選定基準が明確になり、また導入後の効果測定も容易になります。
DX戦略を定めて具体化する
目的を達成するための具体的な戦略とアクションプランを策定します。
どの業務プロセスから着手するか、どのようなデジタルツールを導入するか、誰が推進責任者となるかなど、具体的な計画を立てます。また、予算や導入スケジュールも明確にします。
DX推進は一度に全てを変革するのではなく、段階的に進めることが成功の鍵です。まずは効果が出やすい領域や、関係者の少ない領域から始め、成功体験を積み重ねながら徐々に範囲を拡大していきます。
インフラ構築から始める
DX戦略に基づき、必要なインフラを整備します。
クラウドサービスの契約、モバイル端末の配備、ネットワーク環境の整備など、デジタルツールを活用するための基盤を構築します。セキュリティ対策も同時に講じることが重要です。
また、デジタルツールの導入と並行して、従業員の教育・研修も実施します。特に、デジタル技術に不慣れな従業員に対しては、丁寧なサポートが必要です。
導入結果を検証して改善する
DXツールを導入したら、定期的に効果を測定し、改善を繰り返します。
設定した数値目標に対する達成度を確認し、計画通りに進んでいるかを検証します。目標が達成できていない場合は、原因を分析し、運用方法の見直しやツールの変更を検討します。
また、現場からのフィードバックを積極的に収集し、使いにくい点や改善要望を把握します。PDCAサイクルを回し続けることで、DX化の効果を最大化できます。
建設DX化の際の注意点
建設DXを成功させるための注意点を解説します。
現場を優先してDXを推進する
DX化は経営層や管理部門の都合だけで進めるのではなく、現場の実態を踏まえて推進することが重要です。
現場作業員が実際に使いやすいツールを選定し、現場の業務フローに合わせたカスタマイズを行います。使いにくいツールを押し付けると、かえって業務効率が低下したり、現場の抵抗を招いたりする可能性があります。
また、現場作業員をDX推進の初期段階から巻き込み、意見を聞きながら進めることで、スムーズな導入が実現します。
自社の課題に基づくDX化を進める
他社の成功事例をそのまま真似するのではなく、自社の課題や状況に合わせたDX化を進めることが重要です。
企業規模、扱う工事の種類、従業員のITリテラシーなど、企業ごとに状況は異なります。他社で成功したツールが自社でも同じように効果を発揮するとは限りません。
自社の課題を明確にし、その課題を解決するために最適なツールや手法を選択することが成功の鍵です。
競合との差別化を検討する
DX化は単なる業務効率化だけでなく、競争優位性を確立する手段としても活用できます。
例えば、BIM/CIMを活用した高品質な施工提案、ドローンとAIを活用した詳細な進捗報告、デジタルツインによる維持管理サービスなど、他社にはない付加価値を提供することで、受注競争力を高めることができます。
DX化によって得られたデータや知見を活用し、新たなサービスやビジネスモデルを創出することも検討すべきです。
建設DXの活用事例
建設DXを実際に導入し、成果を上げている企業の事例を紹介します。
竹中工務店
竹中工務店は、建設DXの先進企業として様々な取り組みを推進しています。
同社は、BIM/CIMを全面的に活用した設計・施工プロセスを確立しており、設計段階から3次元モデルを作成し、施工シミュレーションや干渉チェックを徹底的に行っています。これにより、施工段階での手戻りを大幅に削減し、工期短縮とコスト削減を実現しています。
また、AIとロボット技術を活用した自動化施工にも取り組んでおり、天井ボードの自動取り付けロボットや、溶接ロボットなどを開発・導入しています。これにより、人手不足への対応と作業員の負担軽減を両立しています。
さらに、IoTセンサーを活用した現場管理システムにより、作業員の位置情報や環境データをリアルタイムで把握し、安全管理と生産性向上を図っています。
竹中工務店の先進的な取り組みは、2020年2月に同社のニュースリリースで詳しく紹介されています:https://www.takenaka.co.jp/news/2020/02/03/index.html
小柳建設
新潟県の小柳建設は、中堅ゼネコンとしていち早くDX化に取り組み、大きな成果を上げています。
同社は、AR(拡張現実)とMR(複合現実)を活用した「ホロストラクション」というシステムを開発しました。このシステムは、マイクロソフトのHoloLensを使用し、現場で3次元設計データを重ね合わせて表示することで、完成形を視覚的に確認しながら施工できるものです。
ホロストラクションにより、配筋や設備配管の位置確認が容易になり、施工ミスを大幅に削減しています。また、若手技術者でもベテランと同等の精度で作業ができるようになり、技術継承の課題も解決しています。
この革新的な取り組みは国内外から高く評価されており、様々な賞を受賞しています。中堅企業でもDX化によって競争力を高められることを示す好事例となっています。
小柳建設のホロストラクションについて詳しくはこちら:https://n-oyanagi.com/holostruction/
大成建設
大成建設は、「T-iDigital Field」というコンセプトのもと、建設現場のデジタル化を推進しています。
同社は、建設現場におけるあらゆる情報をデジタル化し、クラウド上で一元管理するシステムを構築しました。現場の写真、図面、工程表、品質管理データなどを全てデジタル化し、関係者全員がリアルタイムでアクセスできる環境を整備しています。
また、AIを活用した画像解析により、コンクリートの品質検査や鉄筋の配置確認を自動化しています。人による検査では見落としがちな問題も検出できるため、品質の向上と検査時間の短縮を両立しています。
さらに、ウェアラブルカメラとAIを組み合わせた安全管理システムにより、作業員の危険な行動を検知し、事故を未然に防ぐ取り組みも行っています。
大成建設のT-iDigital Fieldの取り組みは、2021年4月のニュースリリースで紹介されています:https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2021/210420_8100.html
これらの大手企業だけでなく、中小企業においても、自社の課題に合わせた形でDXを推進することで成果を上げている事例が増えています。
実際に、工事日程の調整や現場への緊急連絡といった場面でSMSを活用し、業務効率化を実現している企業もあります。沖縄セルラー電話株式会社では、インターネット開通の進捗案内や工事日程調整にSMSを活用し、月102時間の架電工数削減、クレーム数を週2〜3件から0件へ削減という成果を上げています。詳細はこちらをご覧ください:https://kddimessagecast.jp/case/post-4123/
建設業のDX化の第一歩は「SMS」から始めよう
建設業のDX化というと、BIM/CIMやAI、ドローンといった大規模な技術導入を想像するかもしれません。しかし、まずは小さく始めることも有効な戦略です。その一つが、SMS(ショートメッセージサービス)の活用です。
建設業では、下請け企業との連絡、作業員への指示、工事日程の調整など、日常的に多くのコミュニケーションが発生します。従来は電話や紙の通知が主流でしたが、電話は相手が出られない場合があり、紙の通知は配布に時間がかかる、受け取り確認が困難といった課題がありました。
SMSを活用することで、これらの課題を解決できます。SMSは携帯電話番号さえわかれば送信でき、メールよりも開封率が高く、確実に情報を届けることができます。
建設業における具体的なSMS活用シーンとしては、以下があります。
工事日時の事前連絡とリマインドでは、近隣住民への工事のお知らせや、施主への作業予定の連絡をSMSで行うことで、不在による連絡漏れを防げます。前日や当日朝にリマインドを送ることで、トラブルを未然に防ぐことができます。
作業員への緊急連絡では、天候不良による作業中止や、急な予定変更を迅速に伝達できます。電話では全員に連絡するのに時間がかかりますが、SMSなら一斉送信が可能です。
下請け企業との情報共有では、図面の変更点や重要な指示事項をSMSで通知することで、情報伝達のスピードと確実性が向上します。メールと異なり、SMSは通知が目立つため、重要な情報を見逃すリスクが低くなります。
安全確認と報告では、作業開始前の点呼や作業終了の報告をSMSで行うことで、作業員の安全を確保できます。GPSと組み合わせることで、現場への到着確認なども可能です。
SMSは既存の携帯電話で利用でき、特別なアプリのインストールも不要なため、ITリテラシーが高くない従業員でも簡単に使えます。初期費用も抑えられるため、中小企業でも導入しやすいDXツールです。
建設業のDX化は、必ずしも大規模な投資から始める必要はありません。SMSのような身近なデジタルツールから始め、成功体験を積み重ねながら、徐々にBIM/CIMやAIといった高度な技術へと展開していくことが、現実的で効果的なアプローチです。
SMS配信の基本と送り方について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください:https://kddimessagecast.jp/blog/sms/smsokurikata/
法人向けSMS送信サービスなら「KDDI Message Cast」
建設業でSMSを活用するなら、法人向けSMS送信サービス「KDDI Message Cast」がおすすめです。
KDDI Message Castは、BOXILの独自調査で市場シェアNo.1(16.59%)を獲得している、国内最大規模のSMS配信サービスです。通信キャリアKDDIが提供するサービスのため、国内4キャリア直収接続による98%以上の圧倒的な到達率を実現しています。
建設業での活用メリットとしては、まず高い到達率があります。重要な工事日程の連絡や緊急の指示を確実に届けることができます。電話がつながらない相手にも、SMSなら届きます。
次に、一斉送信機能により、多数の作業員や下請け企業に同時に連絡することができ、連絡業務の時間を大幅に削減できます。
また、送信予約機能を使えば、前日夜や当日早朝など、最適なタイミングで自動的にリマインドを送信できます。
さらに、差し込み機能により、「〇〇様、明日の作業は△△現場です」といった個別の情報を含めたメッセージを一括送信できます。
KDDI Message Castは、初期費用・月額費用0円で、送信成功分のみの従量課金制です。小規模から始めて、効果を確認しながら徐々に拡大できます。また、最大2ヶ月・3,000通の無料トライアルも提供しているため、まずは試してから導入を検討できます。
管理画面からの簡単な操作で送信できる「入稿ポータル」、既存の工程管理システムと連携できる「API連携」、Salesforceと統合する「Salesforce連携」の3つの利用方法があり、企業の規模や用途に合わせて選択できます。
2025年5月からは、次世代規格RCS(リッチコミュニケーションサービス)にも対応し、画像や動画を含むリッチなメッセージ配信も可能になります。工事の進捗写真や完成イメージ図を送るなど、よりわかりやすいコミュニケーションが実現します。
ASPICクラウドアワード2年連続受賞、AppExchange平均評価4.75という第三者評価も受けており、信頼性の高いサービスです。
詳しいサービス内容や料金については、資料をダウンロードしてご確認ください:https://kddimessagecast.jp/download/
まとめ
建設DXは、建設業界が抱える労働生産性の低さ、人材不足、高齢化といった構造的な課題を解決する重要な取り組みです。
BIM/CIM、ドローン、AI、クラウドサービスなどのデジタル技術を活用することで、業務の効率化、技術継承、働き方改革を実現できます。国も i-Construction やインフラDXといった施策を通じて、建設業のDX化を強力に推進しています。
DX化を成功させるためには、自社の課題を明確にし、現場の実態を踏まえた上で、段階的に進めることが重要です。必ずしも大規模な投資から始める必要はなく、SMSのような身近なデジタルツールから始めることも有効な戦略です。
大手企業だけでなく、中小企業でも自社の課題に合わせたDX化によって成果を上げている事例が増えています。まずは小さく始めて成功体験を積み重ね、徐々に範囲を拡大していくことが、現実的で効果的なアプローチです。
建設業のDX化に興味がある方は、ぜひKDDI Message Castの無料トライアルから始めてみてください。最大2ヶ月・3,000通を無料でお試しいただけます。
資料をダウンロードする(1分)

この資料でわかること
- SMSの利用実態と他コミュニケーションツールとの比較
- ビジネスシーンにおけるSMSの代表的な利用用途
- 「KDDI Message Cast」の導入事例
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