プッシュ通知は、ユーザーに情報を直接届けられる強力なマーケティングツールとして活用が進んでいます。しかし、その効果を最大限に引き出すには、メリット・デメリットを理解し、適切に運用することが不可欠です。

この記事では、プッシュ通知の基本的な仕組みから、iPhone・Android別のオン・オフ設定方法、種類、そしてビジネスで有効活用するためのコツまで、網羅的に解説します。

プッシュ通知とは?

プッシュ通知とはアプリからユーザーのスマートフォンにメッセージを表示してお知らせをする機能です。プッシュ通知の内容はロック画面からでも確認可能で、ユーザーが削除または開封するまでは表示されたままになります。アプリを起動していなくても通知を送れるため、リアルタイムで重要な情報を伝えることが可能です。プッシュ通知は新着情報の送付やクーポンの配信、リマインドなどの目的でマーケティングに活発に利用されています。

プッシュ通知をオン / オフに設定する方法

プッシュ通知は便利な一方、「通知がいらない」と感じたり、逆に「必要な通知が来ない」といった状況も起こりえます。ここでは、基本的な通知設定の方法を解説します。

※OSのバージョンによって操作方法が異なる場合があります

iPhoneでのプッシュ通知の設定

iPhoneでは、アプリの初回起動時に通知を許可するかどうかの確認画面が表示されます。ここで許可しなかった場合、後からオンにするには手動での設定が必要です。

設定方法は以下の通りです。

  1. 「設定」アプリを開き、「通知」をタップします。
  2. 通知設定を変更したいアプリを選択します。
  3. 「通知を許可」のスイッチで、オン/オフを切り替えます。

オンにすると、通知の表示場所(ロック画面、通知センター、バナー)や、サウンド、バッジの有無などを細かくカスタマイズできます。

Androidでのプッシュ通知の設定

Android端末では、多くの場合、アプリをインストールすると自動的にプッシュ通知がオンになります。通知をオフにしたい場合や、通知の履歴を確認したい場合は、以下の手順で設定します。

設定方法は以下の通りです。(※機種により若干表示が異なります)

  1. 「設定」アプリを開き、「通知」または「アプリと通知」をタップします。
  2. 通知設定を変更したいアプリを選択します。
  3. 「すべての通知」などのスイッチで、オン/オフを切り替えます。

また、「通知履歴」をオンにしておくことで、過去に届いた通知の内容を後から確認することも可能です。

プッシュ通知の種類

プッシュ通知の機能は多様化していて、主要なシステムだけでも4種類あります。アプリからユーザーにプッシュ通知を送る設定をする際には機能を使い分けることが大切です。ここでは4種類のプッシュ通知の特徴と活用例を紹介します。

リモートプッシュ通知

リモートプッシュ通知はスマートフォンがオンラインのときに外部から送信されるプッシュ通知です。LINEやSNSなどのコミュニケーションアプリのメッセージ受信の通知や、ECアプリでのセール情報の通知などによく用いられています。ユーザーがインターネットに接続している状況で通知を受け取るのがリモートプッシュ通知の特徴です。プッシュ通知を通してアプリやブラウザを使用してすぐにアクションを起こしてくれる可能性が高いのが魅力です。

ローカルプッシュ通知

ローカルプッシュ通知はオンライン・オフラインに関係なく、アプリがインストールされているスマートフォンの中で発信されるのが特徴のプッシュ通知です。ユーザーがアプリで起こしたアクションに応じて、プログラムされた形でプッシュ通知を送信します。時計アプリのアラーム機能やスケジュールアプリのリマインダー機能が代表例です。インストール後に一定時間の利用で利用制限を設けるときのアラート通知にも利用されています。

リッチプッシュ通知

リッチプッシュ通知はテキストだけでなく画像や動画、ボタンなどを使用してコンテンツを送信できるプッシュ通知です。リモートプッシュ通知にもローカルプッシュ通知にも利用できます。リッチプッシュ通知は情報量を増やせることや、ボタンによる導線設計をしやすいことが特徴です。ショッピングアプリで新商品の画像を使って紹介するメッセージを送ったり、関連商品のレコメンドを紹介動画付きで届けたりするなどして、販促に活用されていることが多いプッシュ通知です。

Webプッシュ通知

Webプッシュ通知はWebサイトからブラウザアプリを通して送信されるプッシュ通知です。自社アプリがなくても自社サイトにスマートフォンでアクセスしたユーザーにプッシュ通知を送れるのが特徴です。ECサイトで商品入荷のお知らせをしたり、オンラインサービスサイトで会員向けにお得情報を通知したり、店舗のホームページにアクセスしたユーザーに来店特典クーポンを送ったりするマーケティングで広く活用されています。

プッシュ通知はなぜ重要?

プッシュ通知がマーケティングで活用されているのはスマートフォンの需要が高まっているからです。総務省の令和7年版「情報通信白書」によると日本のモバイル端末の保有率は2024年で87.0%です。スマートフォンは80.5%、携帯電話(スマートフォンを除く)は16.8%となっています。スマートフォンの保有率は2022年で85.6%、2023年で86.2%でした。年々増加している社会背景を考慮すると、スマートフォンのユーザーにアプローチできるプッシュ通知は重要なツールです。

参照:総務省|令和7年版 情報通信白書|データ集
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r07/html/datashu.html#f00292

プッシュ通知の構成要素

プッシュ通知は主に以下の5つの構成要素によって作られています。

  • アイコン
  • タイトル
  • テキスト
  • タイムスタンプ
  • 画像

アイコン

アイコンはプッシュ通知のバナーに表示され、発信元を視覚的に伝える役割を果たします。ブランドがユーザーから認知されていれば、アイコンを見て開封してくれる可能性が高くなります。

タイトル

タイトルはプッシュ通知の内容の大枠を伝えるためのテキストです。OSや機種によって表示できる文字数に違いがありますが、全角20文字前後の表示ができます。テキストはユーザーが開封するかどうかを判断するポイントなので、重要な役割を果たします。

テキスト

テキストはプッシュ通知を開封したときに表示される詳細内容です。テキストの長さは100文字前後で、OSや機種に依存して上限が決まります。

タイムスタンプ

タイムスタンプはプッシュ通知をユーザーが受信した時刻を示します。プッシュ通知の情報の新しさがわかることで、ユーザーの開封意欲に影響を与える場合があります。

画像

画像はプッシュ通知のテキストと合わせて表示できる画像データです。デバイスやOSによって対応状況や表示サイズ、表示場所は異なりますが、画像を使用すればプッシュ通知を通して伝えられる情報量を増やせます。

プッシュ通知が送信される仕組み

プッシュ通知が送信される仕組みは、OSやデバイスによって異なります。iOSではApple Push Notification Service(APNs)、AndroidではFirebase Cloud Messaging(FCM)が使用されます。ブラウザ経由でWebプッシュ通知が送信される場合には、Web Notifications APIが利用されます。

ユーザーがアプリケーションの通知を許可すると、iOSやAndroidのスマートフォンではデバイス識別用IDが送信プラットフォームに登録され、宛先として使用されます。Webアプリの場合にはブラウザ固有の識別IDが登録されます。この許可が行われると、送信プラットフォームに登録されたユーザーに対してプッシュ通知を送信できます。

プッシュ通知のメリット

プッシュ通知はアプリを通してユーザーにアプローチできる有用なツールです。種類も豊富なので使い方によってさまざまなメリットを引き出せます。ここではプッシュ通知を活用するメリットをわかりやすく紹介します。

アプリ継続率の向上が見込める

プッシュ通知によって自社アプリの継続的利用を促すことが可能です。アプリをダウンロードしてもらえても、いらないと思われてアンインストールされてしまっては意味がありません。アプリからプッシュ通知があり、気になる内容だった場合、その時点で一度はアプリに触れてくれます。お得な情報に気付いたり、使い勝手の良さがわかってきたりすることでアプリの継続ユーザーになってくれる可能性があります。リードナーチャリングやリピーター化に有効な方法です。

プロモーションに即効性がある

プッシュ通知には即効性があります。通知があった時点でスマートフォンの音が鳴って気付いてくれることが多いからです。ゲリラセールやキャンペーン開始など、プロモーションを伝えるときにはプッシュ通知が効果的です。新しい機能が搭載されたから使って欲しいというシーンでもタイムリーに伝えられます。プッシュ通知は送ったそのときに見てくれるので、プロモーションコードを送ってその場での購入を促すのにも有効です。

顧客ロイヤリティを高められる

プッシュ通知は顧客ロイヤリティを高め優良顧客に育てられるメリットがあります。顧客は魅力的な情報を継続的に伝えると喜ばれるからです。アプリユーザー限定のクーポンを送付したり、販売開始前の商品のモニター募集をしたりするとブランドへの愛着も深められます。自社アプリは顧客ロイヤリティを高めて安定した収益を上げられる仕組みを作れるツールです。プッシュ通知は顧客接点を増やすことを通して自社アプリの価値を高められます。

開封率が高い

プッシュ通知は視認性が高く、その結果として開封率も高いのがメリットです。バナー表示やサウンド通知によりユーザーが気付きやすいため、届いた時点で素早く開封されることが多いです。そのため、本日限定のキャンペーンやゲリラセールの情報を迅速にユーザーに伝えることができます。

プッシュ通知のデメリット

アプリのプッシュ通知は必ずしもメリットになるとは限らないので注意が必要です。ここではプッシュ通知をするデメリットを説明します。

よく考えずに配信するとユーザーの減少につながる

プッシュ通知をよく考えずに配信するとプッシュ通知をオフにしたり、アプリをアンインストールしたりすることにつながります。アプリの利用率が下がるだけでなく、企業やブランドに対する不信感を抱くリスクもあるので注意が必要です。プッシュ通知があまりに多いとユーザーにとってはストレスになります。同じような内容で自分には不要な内容のプッシュ通知が定期的に配信されていると、煩わしくなってアプリを削除されてしまいます。

文字数・表示に制限がある

プッシュ通知はメールのように文字数や画像の表示などの自由度が高くありません。プッシュ通知の文字数は100文字程度のことが多く、画像表示の可否やサイズの制限なども個別に設けられています。OSやデバイスによる違いを考慮して、制限された中でユーザーに伝えたいことを明確に伝える工夫を求められるのでコンテンツ制作が大変なのがデメリットです。

プッシュ通知活用のコツ

プッシュ通知は上手に活用してメリットを引き出すことが重要です。ユーザーが離脱する原因にならないようにしつつ、プロモーション効果を上げるにはコツがあります。ここではプッシュ通知を活用するときに知っておきたいポイントを紹介します。

通知のタイミングや頻度を工夫する

プッシュ通知はユーザーにとって価値があってこそ開封されるため、ユーザー目線でタイミングや頻度を決めることが重要です。ターゲットユーザーの行動を考慮し、タイムリーにプッシュ通知を送ることで、アクションを促し費用対効果が向上します。しかし、頻度が高すぎると煩わしく感じられることが多く、重要な情報が埋もれてしまう可能性もあります。配信頻度もユーザー視点で適切に調整することが求められます。

ユーザーの目線に立つ

プッシュ通知はユーザーにとってベネフィットにならなければ離脱の原因になります。ユーザー目線でプッシュ通知の内容やタイミングを決めることが成功のコツです。企業視点で商品やサービスを売り込むプッシュ通知を送っても拒否されてしまうリスクがあります。ユーザーが何を欲しているかを考えて、タイムリーに魅力的な情報を伝えることが大切です。頻度が高すぎるとうるさいと思われがちなので配信頻度も調節しましょう。

通知するユーザーを選別する

ユーザーの目線で配信するにはターゲットの選別が重要です。あらゆる人にマッチする通知を送ることは困難だからです。ユーザーの購買行動の履歴や年齢などのさまざまな情報を組み合わせてユーザーをグループに分類しましょう。グループごとの行動様式や嗜好に合わせてプッシュ通知をすると顧客満足度を上げられます。ユーザー行動に基づいてスマートフォンを使用する時間帯を見極めてプッシュ通知を送るといった工夫もするとさらに効果が上がります。

魅力的な文面を作成する

文面の魅力はプッシュ通知の効果に大きな影響があります。ユーザーにとって魅力があるタイトルと本文で構成しましょう。ロック画面や通知画面に表示される内容は限られています。短い文でも魅力が伝わるようにして、通知全体を見てもらえるようにすることが大切です。ユーザーはプッシュ通知のタイトルと書き出しの一文で詳しく読むかどうかを判断します。絵文字を入れてフレンドリーなデザインにするといった工夫もして魅力を高めるのがコツです。

位置情報を利用する

スマートフォンなどのモバイルデバイスにはGPS機能が搭載されているため、位置情報を活用してプッシュ通知を送信するのは効果的な方法です。店舗集客の場合、店舗の近くにいるユーザーに対してプッシュ通知を送信すると、来店確率を高めることができます。例えば、飲食店ならランチやディナーの時間帯に近くにいるユーザーに通知を送ることで、来店を促進できます。また、位置情報に基づいて地域事情を考慮し、パーソナライズされた内容のプッシュ通知を送ることで、ユーザーに良い印象を与えることができます。

プッシュ通知の課題を補う、もう一つの選択肢「SMS」

スマートフォンの普及に対応するためにプッシュ通知は有効ですが、ユーザーが通知をオフにしたり、アプリ自体をアンインストールしたりすると、メッセージを届けられなくなるという課題もあります。そこで、もう一つの選択肢として注目されるのが「SMS(ショートメッセージサービス)」です。

SMSは、携帯電話番号さえわかっていれば、アプリのインストールや通信環境に左右されずにメッセージを届けられます。そのため、プッシュ通知よりも確実性の高い連絡手段として、重要な通知や案内に活用されています。

法人向けSMS送信サービス「KDDI Message Cast」なら、一度に最大660文字の長文を配信できるほか、携帯電話番号の持ち主が変わっていないかを確認できる「誤配信防止機能」も提供しており、安心してご利用いただけます。

関連記事:SMSマーケティングとは?活用事例やメリット・デメリットを解説!
https://kddimessagecast.jp/blog/sms/sms_marketing/

法人向けSMS送信サービスなら「KDDI Message Cast」

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SMSの進化版「RCS」で、より高い訴求力を

「テキストだけのSMSでは物足りない」と感じる場合には、次世代メッセージングサービス「RCS」の活用が有効です。RCSなら、SMSの高い到達率はそのままに、プッシュ通知のように画像や動画、URLボタン付きのリッチなメッセージを送信できます。

さらに、送信元として企業のロゴや「認証済みマーク」を表示できるため、ユーザーに安心感を与え、なりすまし対策にも繋がります。開封確認も可能なため、マーケティング効果の測定にも役立ちます。「KDDI Message Cast」はこのRCSにも対応しており、2025年からはiOSの標準メッセージアプリでも利用可能になるなど、活用の幅はさらに広がっていくことが見込まれます。

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まとめ

プッシュ通知は、ユーザーのエンゲージメントを高め、タイムリーな情報提供を可能にする強力なツールです。しかし、その効果を最大化するには、ユーザーにとって価値のある情報を、適切なタイミングと頻度で届ける必要があります。

一方で、より多くのユーザーに確実にメッセージを届けたい場合、アプリのインストールが不要で到達率の高いSMSの活用も有効な選択肢となります。

ユーザーへの情報伝達手段は多様化しており、それぞれのツールの特性を理解し、戦略的に使い分けることが重要です。

  • プッシュ通知: アプリユーザーとの継続的な関係を構築し、エンゲージメントを高めたい場合に最適です。
  • SMS: アプリの有無にかかわらず、すべてのお客様に契約情報などの重要な通知を確実に届けたい場合に有効です。
  • RCS: SMSの確実性に加え、画像や動画を用いた高い訴求力で、キャンペーン効果やブランドイメージを最大化したい場合に大きな力を発揮します。

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