商品を画像で紹介したい、予約内容をわかりやすく伝えたい、問い合わせの受付をスムーズにしたい。こうした企業と顧客のコミュニケーションに活用できるのが、RCS(Rich Communication Services)です。テキストに加えて画像や動画、ボタンなどを使い、情報を伝えるところから、確認や申込といった次の行動までを支援できます。

本記事では、企業におけるRCSの活用方法とメリットを、業界別の活用例や海外企業の導入事例とともに紹介します。導入前に確認したい対応範囲や、SMSへのフォールバックについても解説します。

RCSとは

RCS(Rich Communication Services)は、テキストに加えて画像・動画などを送受信できるメッセージング規格です。企業からの配信では、商品画像や案内文、Webサイトへ移動するボタンなどを一つのメッセージにまとめられます。

KDDI Message CastのRCSでは、企業名・ロゴ・認証バッジを表示した公式アカウントから配信できます。顧客が送信元を確認しやすく、企業からの案内として認識しやすい点も特長です。

SMSとRCSで届くメッセージの違い。SMSはテキストとURL、RCSは送信元の表示・画像・ボタンで伝える

RCSのビジネス活用が広がる背景

携帯電話番号を使ったメッセージは、テキスト中心のSMSに加え、画像や動画を扱える+メッセージ(RCS規格をベースにした国内3キャリア共同のサービス)などへと広がってきました。さらに、iOS・Androidの標準メッセージアプリでもRCSへの対応が進み、普段使うアプリでリッチなメッセージを受け取れる環境が整いつつあります。

企業にとっては、電話番号を接点とした連絡で、伝え方を工夫できる機会が広がります。商品の写真や手順の説明をメッセージ内にまとめれば、顧客はリンク先を開く前に内容を把握し、関心のある情報や必要な手続きへ進みやすくなります。

なお、個人間RCS(P2P:Person to Person)を利用できる範囲と、法人からの配信(A2P:Application to Person)を受信できる範囲は異なります。法人配信の対応条件は、後半で説明します。

SMS、+メッセージ、標準アプリでのRCSへと広がるメッセージの普及の流れを示す概念図

ビジネスでのRCS活用方法

RCSは、販売促進だけでなく、予約に関する連絡や購入後のサポートにも活用できます。ここでは、代表的な4つの使い方を紹介します。

キャンペーンの告知

セールや期間限定のキャンペーンでは、商品画像・特典・実施期間・申込ボタンをまとめて送れます。案内を受け取った顧客が、特典の内容と利用方法をひと目で把握しやすくなります。

例えば、季節商品の写真にキャンペーン期間と特典を添え、「対象商品を見る」「申し込む」といったボタンからWebサイトへ案内します。顧客データと連携すれば、関心や購入履歴に応じて案内する内容を変える使い方も考えられます。

予約・スケジュール管理

予約確定時や来店前のリマインドにRCSを活用すると、日時・場所・持ち物を一つのメッセージにまとめられます。顧客が必要な情報を見直しやすくなり、来店前の確認の手間を減らせます。

「予約内容を確認する」「変更手続きへ進む」といったボタンを設ければ、予約管理システムの画面へ案内できます。予約情報と配信システムを連携させることで、利用日に合わせたリマインドの自動送信も可能です。利用後は、お礼やアンケートの案内など、継続的なフォローにも活用できます。

商品情報の紹介

商品の比較や購入後の使い方の案内にもRCSが役立ちます。複数の画像で製品の違いを示したり、動画で操作方法を説明したりすることで、文章だけでは伝わりにくい情報を補えます。

例えば、色や仕様の異なる商品を、複数のカードを横にスワイプして見られるカルーセルで並べ、「詳細を見る」ボタンから各商品ページへ案内します。購入後には、組み立て方やお手入れの動画を送り、使い方への疑問を解消するサポートにもつなげられます。

顧客対応

RCSの双方向のやり取りを活用すると、顧客が知りたい内容を選び、必要な案内へ進めるようにできます。KDDI Message Castでは、返信候補をボタンで示すチップリスト機能を利用できます。例えば「配送について」「使い方について」といった選択肢から用件を受け付け、長い文章を入力する手間を減らせます。

さらに、チャットボットや問い合わせ管理システムと連携すれば、よくある質問への自動回答や担当者への引き継ぎも検討できます。RCSを問い合わせの入口として使い、回答内容や対応の振り分けは連携先のシステムで設定します。

キャンペーン・商品案内、予約・リマインド、商品・サービス案内、重要なお知らせ・顧客フォローの4つのシーンでのRCS配信イメージ

企業でRCSを活用するメリット

こうした活用により、顧客にとってのわかりやすさと、企業側の運用のしやすさを高められます。主なメリットを4つに整理します。

開封・クリックを確認し、配信内容を改善できる

KDDI Message CastのRCSでは、開封やクリックの状況を測定できます。どの案内が読まれ、どのボタンが押されたかを確認し、画像や案内文、配信タイミングを見直す材料にできます。

配信する、反応を確認する、内容を見直すの3段階で配信結果を次の改善に生かす流れ

必要な情報と手続きの入口をまとめられる

顧客が案内を受け取ってから行動するまでには、内容を理解し、必要な情報や手続き先を探す過程があります。RCSでは、画像・説明文・ボタンをまとめて表示することで、この手間を減らせます。商品購入や予約確認など、案内の目的に応じて次の行動を示せます。

商品・キャンペーン案内、予約リマインド、契約更新・手続き案内で、RCSの案内から次の行動へ進む例

自動応答との連携で、顧客対応を効率化できる

チャットボットなどと組み合わせれば、営業時間外の一次受付や定型的な質問への回答を自動化できます。担当者は、個別の判断や説明が必要な相談に時間を使いやすくなります。どの用件を自動化し、どの段階で担当者へ引き継ぐかを設計することが大切です。

既存システムと連携し、配信の手間を減らせる

顧客管理や予約管理のシステムとAPIで連携すれば、顧客情報や予約内容をもとにした配信を業務に組み込めます。宛先や案内内容をその都度用意する手間を減らし、必要なタイミングで連絡する仕組みづくりに役立ちます。

KDDI Message Castでは、RCS送信APIと配信確認APIを提供しています。管理画面やSalesforceからの配信にも対応しており、自社の業務に合う方法を選べます。

KDDI Message Castの配信システムを介したRCSの配信・連携方法。管理画面、API連携、Salesforce連携から配信する構成図

業界別に見るRCSの活用例

自社での使い方を検討する際は、画像で伝えたい情報や、顧客に確認・申込をしてもらいたい場面から考えると整理しやすくなります。業界別の例をまとめました。

業界活用を検討しやすい場面RCSを使うポイント
人材求人紹介、登録者への面談案内仕事内容や勤務地をカードで示し、求人詳細や面談予約へ案内
金融相談予約、手続きの準備案内企業名・認証バッジを示し、必要書類や確認先をわかりやすく提示
保険満期・更新、保険金請求の案内期限と必要な手続きをまとめ、確認・請求ページへ案内
EC・通販新商品、関連商品の紹介商品画像をカルーセルで見せ、関心のある商品ページへ案内
ITサービス契約更新、新機能の案内更新内容や使い方を画像・動画で伝え、手続きやヘルプへ案内
不動産物件紹介、内見前の案内物件写真や間取りを見せ、詳細確認や内見予約へ案内
美容施術メニュー紹介、来店前の案内メニューの画像や来店前の注意事項を示し、予約確認へ案内
旅行・宿泊出発前・宿泊前の案内集合場所や施設情報を画像とともにまとめ、チェックインページへ案内
製造保守点検、製品の操作案内操作動画や点検内容を示し、マニュアル・点検受付へ案内
小売入荷通知、店舗キャンペーン入荷商品や特典を画像で伝え、店舗情報や取り置きの確認先へ案内
医療・ヘルスケア健診・受診前の案内日時・持ち物・来院前の準備をまとめ、問診フォームへ案内
飲食予約確認、季節メニューの紹介料理写真や来店情報を示し、メニュー詳細・予約確認へ案内

上記は活用例です。予約変更や申込などの処理は案内先のWebサイト・システムで行い、顧客情報に応じた自動配信にはシステム連携が必要です。

RCSを導入した企業の活用事例

ここからは、Googleが公開する海外7社の事例を紹介します。各社がどのような課題に対してRCSを使い、どのような成果を得たのかを見ていきましょう。数値は各社の配信設計やシステム連携を含む施策の成果であり、配信条件によって効果は異なります。

Los Angeles Rams(米国):チケットの案内をファンに合わせて配信

NFLのLos Angeles Ramsは、試合日程の発表に合わせてチケットを案内しました。過去のSMSへの反応からファンを4つの層に分け、カルーセルやリッチカードで複数のチケットを紹介し、RCSとSMSを比較しています。その結果、ライト層や反応が減っていたファンのエンゲージメントは最大70%向上。チケット販売は60%増加し、クリック率は従来のSMSマーケティング比で20%向上しました。

出典:Google「Los Angeles Ramsの導入事例」

Nespresso(フランス):会話を通じて商品選びをサポート

Nespressoは、SMSでは複雑なサブスクリプションの内容を説明しにくいという課題に対し、「Coffee Detective」キャンペーンでRCSとチャットボットを組み合わせました。好みや飲み方について質問し、回答に合うコーヒーマシンとプランを提案しました。クリック率は15%で、リッチSMSを4ポイント上回りました。シナリオ完了率は36%(リッチSMSの2.3倍)、コンバージョン率もSMS比で11%高くなっています。

出典:Google「Nespressoの導入事例」

Axis Bank(インド):金融商品の問い合わせから申込までを案内

Axis Bankは、ローン・クレジットカード・定期預金に関する問い合わせや手続きを支えるRCSチャットボットを構築しました。顧客はQRコードから会話を始め、画像やワンタップの返信ボタンを使って質問や申込を進められます。この施策では、対象商品のクロスセル機会が45%増加し、新規利用者が2,000人を超えました。チャットボット経由のサービスリクエストも6.5%増加しました。

出典:Google「Axis Bankの導入事例」

Clarins(フランス):限定商品の告知や対話型の商品提案に活用

Clarinsは、アドベントカレンダー、プロモーション、会話を通じた商品提案など、複数のRCSキャンペーンを実施しました。アドベントカレンダーでは開封率79%・クリック率22%、プロモーションでは開封率76%・クリック率11%を記録し、リッチSMSと比べ平均で3倍のエンゲージメントが得られました。

出典:Google「Clarinsの導入事例」

BigHaat(インド):農作物や季節に合う商品を紹介

BigHaatでは、利用者の言語や栽培する作物に合わない広告が届くことが課題でした。そこで、作物の種類や生育段階、季節に合わせて配信内容とタイミングを設計し、画像・動画・カルーセルや返信ボタンを組み合わせたRCSを配信しました。広告費用対効果(ROAS)は103%向上し、クリック率はSMS比で3倍、1注文あたりの獲得コストは従来の3分の1に下がりました。

出典:Google「BigHaatの導入事例」

Casas Bahia(ブラジル):分割払いサービスの利用を促進

小売企業Casas Bahiaは、デジタル分割払いサービス「Carnê Digital」の利用促進にRCSを採用しました。顧客が普段使うメッセージアプリで、文章とビジュアルを組み合わせてサービスを案内しています。他の会話型チャネルとの比較では、コンバージョンが1.6倍、投資利益率(ROI)が6.2倍となりました。

出典:Google「Casas Bahiaの導入事例」

Extramarks(インド):ワークショップへの参加申込を促進

Extramarksは、教員向けワークショップの案内にRCSを活用しました。画像などで内容を伝え、「Register Now」ボタンや開催前のリマインドを組み合わせ、複数のチャネルで参加を呼びかけています。この施策では、対象ワークショップのコンバージョンが22.6%増加し、獲得単価は80%減少。RCSのROIは、他のOTTメッセージングチャネル比で2倍になりました。

出典:Google「Extramarksの導入事例」

RCSの対応範囲とSMSへのフォールバック

実際にRCSを導入する際は、届けたい相手が受信できるかを確認します。個人間でRCSを使えることと、企業からの配信を受信できることは別であり、利用する配信サービスの対応回線や端末・アプリなどの条件によって配信できる範囲が変わります。

KDDI Message Castの最新の対応回線や受信条件は、「キャリア別RCS対応状況と法人配信で届く範囲」でご確認ください。

RCSを受信できる相手にはRCSで、受信できない相手にはSMSへフォールバックして届ける配信の仕組み

法人向けRCS・SMS送信サービスなら「KDDI Message Cast」

KDDI Message Castは、法人向けのメッセージ送信サービスです。企業名・ロゴ・認証バッジを表示した公式アカウントから、画像・動画・ボタンを使ったRCSを配信できます。SMSへのフォールバックや、既存システムとのAPI連携にも対応しています。
商品の魅力を伝えるキャンペーン、予約のリマインド、問い合わせ対応など、目的に合わせた活用を支援します。現在の顧客連絡で改善したいことや配信対象を伺い、自社に合う配信・運用方法をご案内します。
KDDI Message Cast RCSについてはこちら

まとめ

RCSは、画像や動画で内容を伝え、ボタンや返信候補で顧客の行動を支援できるメッセージング規格です。キャンペーン告知、予約管理、商品紹介、顧客対応など、さまざまな業務に活用できます。
活用を検討する際は、「何を伝えたいか」「顧客にどのような行動を取ってもらいたいか」を具体的にし、画像やボタンが役立つ場面から選ぶことが大切です。配信できる範囲や必要なシステム連携を確認し、配信後の反応を見ながら、自社に合う使い方を広げていきましょう。

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「KDDI Message Cast RCS」のご紹介

この資料でわかること

  • RCSでできることと、従来のSMSとの違い
  • 他の連絡手段と比較したRCSの位置づけ
  • RCSの料金体系と、費用対効果の試算例
  • RCS非対応端末へのフォールバックの仕組み
  • お申し込みから配信開始までの流れと、ご準備いただくもの