安否確認とは、地震や台風などの緊急事態が発生した際に、従業員やその家族の安全と所在を確かめ、事業継続の判断につなげる初動対応です。連絡手段としてはメールや電話が長く使われてきましたが、「メールが埋もれて回答が集まらない」「電話がつながらない、かけきれない」という壁に突き当たる企業は少なくありません。

本記事では、SMS(ショートメッセージ)で安否確認を行う具体的な手順と、メール・電話・専用システムとの違い、BCPにおける位置づけを解説します。あわせて、SMSで安否確認や緊急一斉通知を実施している自治体・大学の事例も紹介します。

安否確認とは?BCPにおける位置づけ

安否確認とは、災害や事故などの非常時に、従業員本人と家族の無事、現在の所在、出社の可否を確かめる取り組みを指します。確認した結果は「事業を続けられるか」「どの業務から復旧させるか」を判断する材料になるため、BCP(事業継続計画:Business Continuity Plan)では最初に実施すべき初動対応のひとつと位置づけられています。

緊急時に集める情報は、次の3点に絞るのが基本です。

  • 本人と家族の安否(無事か、けがはないか)
  • 現在の所在(自宅・外出先・出社中など)
  • 出社の可否(通常どおり勤務できるか)

質問項目を増やすほど回答の負担が増え、肝心の回答率が下がります。緊急時に迷わず答えられる分量にとどめ、詳細のヒアリングは安否の確認が取れたあとに回す設計が現実的です。

メールや電話による安否確認が難しい理由

メールでの安否確認は、多人数へ一斉に送れる半面、他のメールに埋もれたり、フィルタ設定にはじかれたりして気づかれないことがあります。平時の連絡であれば多少の見落としは許容できても、全員の回答を短時間で集めたい安否確認では、この「開封されない」問題が大きな障害になります。

電話は相手の状況を直接確かめられる確実な手段ですが、1件ずつしかかけられません。対象人数が多いほど担当者の負荷は膨らみ、災害時には回線の混雑でつながりにくくなることもあります。実際に、新型コロナウイルス対応で陽性者へ電話連絡を続けていた名古屋市では、連絡業務そのものが大きな負担になっていました(後述の事例で紹介します)。

専用の安否確認システムやアプリは、自動配信や集計の機能が充実している一方で、従業員の個人情報を事前にシステムへ登録し、使い方を周知しておく手間がかかります。いざというときに全員が使えるよう、平時からの教育と定期的な確認が欠かせません。

SMSで安否確認を行う方法

SMSは携帯電話番号さえわかれば、スマートフォン・フィーチャーフォンを問わずメッセージを届けられます。専用アプリのインストールや事前登録を従業員に求める必要がなく、届いたメッセージが画面に表示されるため、メールより気づかれやすい連絡手段です。SMS送信サービスを使えば、次の4つのステップで安否確認の体制を整えられます。

連絡先リストを整備する

従業員の携帯電話番号を収集し、CSVなどで一覧化します。入社・退社や機種変更で番号は変わるため、年1回以上の棚卸しをルール化しておくと、緊急時の不達を減らせます。収集の際は利用目的(安否確認・緊急連絡)を明示し、社内の個人情報の取り扱いルールに沿って管理しましょう。

発動基準と配信文面を決めておく

「震度5強以上の地震が発生したら人事部が配信する」のように、発動条件と配信担当をあらかじめ決めておきます。文面は名乗り・用件・回答方法だけの簡潔な形でテンプレート化しておくと、発生時に迷いません。

【○○株式会社 安否確認】
地震が発生しました。ご自身とご家族の安否を、以下のアンケートから本日中に回答してください。
回答がない場合は人事部から電話で確認します。
(回答フォームのURL)

地震・台風・大雨などシーン別の文例は、緊急連絡網で実際に送る例文集!送る際のポイントを解説!にまとめています。

回答の集め方を決める

回答の集め方は大きく2つあります。ひとつは、アンケートフォームのURLを本文に載せて、フォーム上で回答してもらう方法です。もうひとつはSMSへの返信をそのまま回収する方法で、KDDI Message CastではAPI連携・Salesforce連携で利用できる双方向SMSが対応しています。誰がいつ回答したかを把握できる形式を選び、未回答者への再送や電話フォローの手順もセットで決めておきます。

訓練で運用を確認する

体制を整えたら、避難訓練や防災訓練に合わせて実際に配信してみます。回答率、連絡先リストの不備、文面のわかりやすさを確認し、必要に応じて見直します。送信予約機能を使えば、訓練の日時に合わせた自動配信も可能です。

安否確認の手段比較|SMS・メール・電話・専用システム

主な連絡手段の特性を整理すると、次のとおりです。

比較項目SMSメール電話安否確認システム・アプリ
届きやすさ携帯電話番号だけで、端末を問わず届く他のメールに埋もれたり、フィルタにはじかれたりすることがある災害時は回線の混雑でつながりにくいことがある専用アプリ・システム経由で通知
一斉連絡可能可能不可(1件ずつ)可能
回答の集めやすさ返信やアンケートURLで回収できる。メールより30%高い開封率開封されず回答が集まらないことがある直接確認できるが、対象が多いと時間と人手がかかる集計機能が充実。開封状況を確認できるものもある
事前準備の負担携帯電話番号のリスト整備メールアドレスのリスト整備連絡網の整備と担当者の確保個人情報の事前登録と使い方の周知が必要
費用初期費用0円・送信成功分のみの従量課金で始められる(KDDI Message Castの場合)低コスト通話料に加えて連絡にあたる人手が必要サービスにより異なる

どの手段にも一長一短がありますが、SMSは「確実に届けて、素早く答えてもらう」ことに強みがあります。すでに安否確認システムを導入している企業でも、通知が届かない従業員への補完チャネルとしてSMSを併用する使い方が可能です。

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SMSを使った安否確認の始め方~緊急連絡網の利用から脱却~

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障害・情報漏洩など緊急時の顧客連絡にも広げられる

安否確認のために整えた「携帯電話番号宛てに一斉送信できる体制」は、従業員向けの連絡だけでなく、有事の顧客・取引先への通知にも転用できます。システム障害や情報漏洩が起きた場面では、メールでの通知が届きにくかったり、そもそもメール基盤が使えなかったりするため、携帯電話番号宛てに直接届くSMSが代替の連絡チャネルになります。

社内システムの障害対応では、ServiceNow®との連携も選択肢になります。KDDI Message Cast for ServiceNowでは、ServiceNow上でインシデントが検知されると同時に、ワークフローを起点として関係者へSMSを自動配信できます。夜間・休日を含む障害対応で担当者の手作業による連絡を補完できるため、復旧の初動短縮にも有効です。詳細はServiceNowとの連携ページをご覧ください。

SMSによる安否確認・緊急一斉通知の導入事例

KDDI Message Castで安否確認や緊急時の一斉通知を実施している事例を3つ紹介します。

神戸市看護大学:災害時の安否確認で回答率が向上

神戸市看護大学では、学生・教職員全員向けの災害時安否確認にSMSを利用しています。配信文面にアンケートを付けて回答を集める方式で、従来のグループイントラ経由の確認と比べて、学生・教職員合算の回答率が3%、教員では10%向上しました。年2回の全校避難訓練でも同じ仕組みを使い、平時から運用を確認しています。詳細は神戸市看護大学様の導入事例をご覧ください。

愛知県名古屋市:電話連絡の負担を軽減し1日当たり350時間を削減

名古屋市では、新型コロナウイルス陽性者への連絡にSMSを活用し、電話連絡の負担を軽減しました。その結果、1日当たり350時間もの業務を削減し、職員が本来注力すべきケア業務に時間を振り向けられるようになっています。大人数への緊急一斉通知をSMSで効率化した代表的な事例です。詳細は名古屋市様の導入事例をご覧ください。

沖縄県那覇市保健所:療養解除の連絡を電話からSMSへ切り替え

那覇市保健所では、ピーク時に1,000件弱まで増えた新型コロナウイルスの療養解除連絡にSMSを導入しました。SMSでの案内を承諾した方(全体の約7割)への連絡を電話から置き換え、工数を大幅に削減しています。詳細は那覇市保健所様の導入事例をご覧ください。

いずれも「多くの相手へ、短時間で、確実性の高い連絡を届ける」という安否確認と共通の課題を、SMSの一斉配信で解決した事例です。

KDDI Message Castで安否確認を始める

「KDDI Message Cast」は、RCSおよびSMSを一斉配信するためのプラットフォームです。法人向けのメッセージ送信サービスとして、キャリアグレードの品質と充実したサポート体制により、企業のビジネスを強力に支援します。

安否確認・緊急連絡の用途では、次の特長があります。

  • 国内網接続による98%以上の到達率
  • メールよりも30%高い開封率
  • 最大660文字の長文送信に対応し、避難指示や回答方法まで1通で案内できる
  • 差し込み機能・送信予約機能で、宛名入りの文面や訓練日時に合わせた配信が可能
  • API連携・Salesforce連携では、返信を受け取れる双方向SMSを利用可能
  • 初期費用0円・月額費用0円の完全従量課金で、課金は送信成功分のみ

無料トライアルは最大2ヶ月・3,000通まで利用できます。まずは避難訓練での試験配信から始めて、自社の運用に合うかを確かめるのがおすすめです。

SMSでの安否確認に関するよくある質問

安否確認をSMSで行うメリットは何ですか?

携帯電話番号さえわかれば、スマートフォン・フィーチャーフォンを問わずメッセージを届けられることです。専用システムのような事前のアプリ設定や登録を従業員に求める必要がなく、メールよりも30%高い開封率が期待できます。

安否確認のSMSに返信してもらうことはできますか?

できます。API連携・Salesforce連携で利用できる双方向SMSを使うと、従業員からの返信をそのまま受け取れます。また、アンケートフォームのURLを本文に載せて回答を集める方法もあり、運用に合わせて選べます。

BCPにおいて安否確認はなぜ重要ですか?

従業員の安否は、事業を継続できるか、どの業務から復旧させるかを判断する起点になる情報だからです。安否確認が遅れると初動対応の全体が遅れるため、BCP(事業継続計画)では確実に届く連絡手段の確保が重要になります。

安否確認SMSの例文はありますか?

本記事の「発動基準と配信文面を決めておく」の項で基本の文例を紹介しています。地震・台風・大雨など、シーン別の文例をまとめて確認したい場合は、関連記事「緊急連絡網で実際に送る例文集!送る際のポイントを解説!」を参照してください。

安否確認の訓練はどのように行えばよいですか?

避難訓練や防災訓練に合わせて実際に安否確認のメッセージを配信し、回答率や連絡先リストの不備を確認する方法が有効です。神戸市看護大学では、災害時の安否確認に加えて、年2回の全校避難訓練でもSMSを利用しています。

まとめ|安否確認は届きやすく答えやすい手段の確保から

安否確認はBCPの初動を支える土台です。メールの見落としや電話のつながりにくさに悩んでいるなら、携帯電話番号だけで届き、回答も集めやすいSMSが有力な選択肢になります。連絡先リストの整備、文面のテンプレート化、回答方法の設計、訓練という4つのステップで、無理なく体制を整えていきましょう。

SMSでの安否確認をより詳しく知りたい方は、資料SMSを使った安否確認の始め方~緊急連絡網の利用から脱却~を無料でダウンロードいただけます。運用に必要な事前準備のステップや、災害発生時の具体的な運用手順を、導入事例とあわせて解説しています。

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この資料でわかること

  • SMSの利用実態と他コミュニケーションツールとの比較
  • ビジネスシーンにおけるSMSの代表的な利用用途
  • 「KDDI Message Cast」の導入事例