RCSとSMSの違いを比較|法人配信の料金・対応条件と選び方

顧客へのメッセージに、RCSとSMSのどちらを使えばよいのでしょうか。
SMSは携帯電話番号宛てにテキストを送る手段です。一方、RCSは画像や動画などを扱えるメッセージング規格で、法人向け配信では企業ロゴや操作ボタンを使った案内もできます。ただし、利用できる機能や届く範囲には条件があります。
企業が比較する際に押さえたいのは、企業が支払う配信料金と、受信者が負担する通信料は別であることです。また、個人どうしでRCSを使えることと、企業から同じ相手にRCSを配信できることも同じではありません。
この記事では、料金・対応条件・機能を整理し、業務に合う選び方を解説します。
RCSとSMSの基本的な違い

SMS(Short Message Service)は、携帯電話番号を宛先にテキストメッセージを送受信するサービスです。画像や動画の添付には対応しませんが、本文にURLを記載してWebページへ案内できます。長文に対応するサービスもあり、「SMSは必ず全角70文字まで」というわけではありません。
RCS(Rich Communication Services)は、テキストに加えて画像や動画などを扱える規格です。法人向けRCS配信では、審査された企業の名称・ロゴ、画像と説明文を組み合わせたカード、Webページなどへ誘導するボタンを利用できます。
国内の「+メッセージ」は、RCS規格をベースにしたドコモ・au・ソフトバンクの3キャリア共同のサービスです。本記事では、共通する特徴を「RCS/+メッセージ」として整理します。ただし、受信に使うアプリや法人向けの配信経路、提供機能、料金まで同一という意味ではありません。
出典:au「SMS(Cメール)」、KDDI Message Cast「その他の機能」、NTTドコモ「RCS」、KDDI Message Cast「+メッセージ送信サービス」、Google「phones.getCapabilities」、Google「Launch an agent」、KDDI Message Cast「日本のキャリア別RCS対応状況」、NTTドコモ「+メッセージ」
個人間RCSと法人からの配信を区別する
利用者どうしのやり取りは「個人間RCS(P2P:Person to Person)」、企業のシステムから顧客への配信は「法人からの配信(A2P:Application to Person)」と呼びます。
個人間RCSの案内にある「送信料無料」は、その利用者向けサービスの条件です。企業が管理画面やAPIを通じて一斉配信する際の料金を示したものではありません。法人向けには、配信サービスの契約、企業アカウントの審査、配信先ネットワークへの対応などを別途確認する必要があります。
出典:au「RCS」、Google「Standard billing FAQ」、Google「Launch an agent」
法人配信で見るRCSとSMSの比較表
以下は、企業から顧客へ配信する場合の比較です。RCS/+メッセージの機能は、配信サービスと受信環境の両方に依存します。
| 比較項目 | SMS | 法人向けRCS/+メッセージ |
|---|---|---|
| 宛先 | 携帯電話番号 | 携帯電話番号 |
| 配信先の条件 | SMSを利用できる回線・端末。RCSへの対応は不要 | 受信側の回線・端末・OS・アプリ・設定に加え、配信サービス側の対応が必要 |
| 受信時の通信 | 通常のSMS受信自体に、Web閲覧用のインターネット接続は不要 | モバイルデータ通信やWi-Fiを利用 |
| 表示できる内容 | テキスト、本文内のURL | テキストに加え、画像・動画・カード・ボタンなど。機能や表示には条件あり |
| 送信者の表示 | 送信元番号など。表示方法はサービス・受信環境による | 審査された企業名・ロゴ・認証表示などを利用可能。表示はサービス・アプリによる |
| 文字数 | 長文対応もある。文字数・文字種によって課金通数が変わる場合がある | 長文に対応するが、文字数・ファイル容量などの上限はサービスごとに確認 |
| 配信結果の確認 | 配信サービスで到達状況などを確認可能。SMS自体には既読通知がない | 対応するサービス・環境で到達・開封・クリックなどを確認可能 |
| 企業が支払う料金 | 法人向け送信サービスの料金。課金通数や契約条件による | 法人向け配信サービスの料金。受信者のデータ通信料とは別 |
| 受信者の費用 | 国内の通常のSMS受信は無料。リンク先の閲覧には別途データ通信を使う | 受信にデータ通信を使う。追加負担の有無は通信プランや接続方法による |
| 届けられない場合の対応 | 再送や別の連絡手段を検討 | 対応する配信サービスではSMSへの切り替えが可能。設定・判定条件の確認が必要 |
比較表は、各社のSMS・RCS利用案内、法人向けサービスの機能説明、RCS for Businessの対応判定仕様に基づいています。「対応している」ことは、すべての相手への即時到達や、すべての機能の利用を保証するものではありません。
出典:au「SMS(Cメール)」、au「RCS」、KDDI Message Cast「RCS送信サービス」、KDDI Message Cast「その他の機能」、KDDI Message Cast「+メッセージ送信サービス」、Google「phones.getCapabilities」
料金は「企業の配信費用」と「受信者の通信料」に分けて考える
企業が支払うのは法人向けサービスの配信・利用料金
企業がSMSやRCSを一斉配信する場合、費用は利用する法人向けサービスの契約条件で決まります。RCSがデータ通信を利用するからといって、企業の費用がデータ通信料だけになるわけではありません。
SMSでは、受信画面上の1件と、料金計算上の1通が一致しない場合があります。例えば、KDDI Message Castは最大660文字の長文SMSに対応していますが、文字数に応じて課金通数が変わります。氏名やURLを差し込む運用では、差し込み後の本文で確認することが大切です。
RCS/+メッセージについても、配信料金だけでなく、アカウントや利用機能に関する費用の有無を確認します。ただし、すべてのサービスに同じ費目や課金方式があるわけではありません。
配信量・メッセージ形式・必要な機能をそろえ、見積もりでは次の項目を確認しましょう。
| 確認項目 | 比較するポイント |
|---|---|
| 初期費用・月額費用 | 費用の有無、最低利用条件、料金に含まれる機能や支援の範囲。 |
| 配信料金・課金単位 | 「1通」の数え方、文字数・メッセージ形式による違い、届かなかった配信や再送の扱い。 |
| SMSへの切り替え | 代替配信するSMSの料金・課金通数と、RCS・SMSそれぞれの請求対象。 |
| システム連携・制作運用 | システムの開発・設定、文面・画像制作などのうち、サービスに含まれる作業と、自社で準備・手配する作業の範囲。 |
KDDI Message Castの料金ページは、SMS送信サービスの料金案内です。掲載された単価や条件を、そのままRCS配信の料金として読み替えることはできません。 法人向けRCSの具体的な料金・利用条件は、お問い合わせ窓口へご相談ください。
出典:KDDI Message Cast「SMS送信サービスの料金」、KDDI Message Cast「+メッセージ送信サービス」、Google「Standard billing FAQ」、KDDI Message Cast「その他の機能」
受信者が負担するのは、自身の契約に基づく通信料
国内の通常のSMS受信は無料です。ただし、SMSに記載されたURLを開いてWebページを閲覧する際は、別途データ通信を使います。また、受信と送信は別であり、受信者がSMSを送信・返信する場合には契約に応じた送信料がかかります。
RCSの受信ではデータ通信量が消費されます。契約中のデータ容量に収まる場合などは、受信のたびに追加料金が発生するとは限りません。Wi-Fi利用時とモバイルデータ通信時でも、負担の条件は異なります。
これは、受信者が企業向けの配信料金を支払うという意味ではありません。企業の見積もりに使う配信料金と、顧客への説明に使う通信料の注意事項を、別々に管理することが重要です。
出典:au「SMS(Cメール)」、au「RCS」、NTTドコモ「RCS」
個人間で使えても、法人から配信できるとは限らない
法人向けRCSの配信可否は、受信側と配信サービス側の条件を合わせて判断します。
受信側では、契約回線、端末、OS、利用アプリ、RCSの有効化などを確認します。配信サービス側では、対象回線への配信対応や企業アカウントの利用条件を確認します。GoogleのRCS for Business仕様でも、端末が非対応の場合だけでなく、そのネットワークで企業アカウントが利用可能になっていない場合は配信対象にならないことが示されています。
例えば、2026年9月16日に確認したドコモ公式ページでは、個人間RCSの対応機種にiPhone(iOS 27.0以上)が掲載されています。しかし、これだけでKDDI Message Castからドコモ回線へRCSを配信できると判断することはできません。
同日に確認したKDDI Message Castの法人向けRCS配信の公開案内では、対応先はau回線、ソフトバンク・NTTドコモ回線への対応は2026年度中の予定です。これは、RCS規格を使う「+メッセージ」経由の配信とは区別して確認する必要があります。提供予定は、現在利用できる機能として扱わないようにしましょう。
回線別の整理はキャリア別RCS対応状況を参照し、契約時には各キャリア公式の最新の利用条件と、配信サービス側の対応を改めて確認してください。
また、「標準のメッセージアプリで受信できる」ことと「すべての端末でアプリの追加・設定が不要」は同じではありません。対応アプリが入っていない場合にはダウンロードが必要で、+メッセージにもアプリの利用条件があります。
出典:Google「phones.getCapabilities」、Google「Launch an agent」、NTTドコモ「RCS」、KDDI Message Cast「日本のキャリア別RCS対応状況」、NTTドコモ「+メッセージ」、ソフトバンク「RCS」
業務に合わせたRCSとSMSの選び方
簡潔な内容を広い対象に送るならSMSを検討する
認証コード、予約日時、発送のお知らせなど、短いテキストで用件が伝わる場面では、SMSを候補にできます。RCSを利用していない顧客も対象にできるため、画像やボタンよりも、対象者を広くカバーすることを優先したい場合の選択肢になります。
ただし、SMSも全件到達を保証する手段ではありません。電話番号の有効性や受信拒否、通信状況などの影響を踏まえて運用を決めます。
出典:au「SMS(Cメール)」、KDDI Message Cast「RCS配信の提供開始」2025年5月20日
内容の理解や次の操作を支援するならRCSを検討する
商品の画像を見せたい、複数の選択肢を示したい、手続きページへボタンで案内したい場合は、RCSの表現機能を活かせます。企業名やロゴの表示も、誰からの案内かを判断する手掛かりになります。
例えば、商品説明と申し込みボタンをまとめる、予約内容と変更手続きへの導線を同じメッセージに置く、といった使い方が考えられます。機能の多さだけで選ぶのではなく、顧客に何を理解してもらい、何をしてもらうかを先に決めましょう。
出典:Google「phones.getCapabilities」、Google「Standard billing FAQ」、Google「Launch an agent」
対象者の環境が混在するなら併用を検討する
RCSで受信できる相手には画像やボタン付きの案内を送り、それ以外にはSMSで用件とURLを伝える運用も選択肢です。ただし、併用の可否や自動切り替えの条件は、配信サービスによって異なります。
効果を評価する際は、送信対象数、到達数、開封数、クリック数、手続き完了数を分けましょう。SMSの到達率とRCSの開封率は、異なる段階の指標です。比較するなら対象者や期間、分母をそろえ、必要な行動が完了したかと、そのためにかかった企業側の総費用を確認する方法が適しています。
出典:KDDI Message Cast「RCS送信サービス」、KDDI Message Cast「RCS配信の提供開始」2025年5月20日
SMSへの切り替えは、条件と代替文面まで確認する

RCSで配信できない場合にSMSへ切り替える仕組みを「フォールバック」と呼びます。これは、法人向け配信サービスの対応や設定を前提とする機能であり、RCSを選べば必ず自動で利用できるわけではありません。
導入時には、非対応と判定された場合と、一時的に未配信になっている場合を分けて確認します。切り替えるタイミング、メッセージの有効期限、再送や重複配信の扱い、各チャネルの課金条件を明確にしておきましょう。
SMSには画像や操作ボタンをそのまま載せられないため、代替文面も必要です。画像内だけに記載していた日時や条件をテキストに移し、ボタンの代わりにURLを示すなど、SMSだけでも用件が伝わるように準備します。
フォールバックは連絡手段を補う仕組みであり、到達や既読、手続き完了の保証ではありません。重要度の高い連絡では、メッセージの送信結果だけで判断せず、必要に応じて別の連絡手段も組み合わせる運用を検討してください。
出典:KDDI Message Cast「RCS送信サービス」、Google「Revoke messages」、Google「Standard billing FAQ」、au「SMS(Cメール)」
KDDI Message CastでRCSとSMSを使い分ける
KDDI Message Castは、法人向けのメッセージ送信サービスです。RCSの画像・動画・ボタンを使った配信や、SMSとの組み合わせに対応しています。導入を検討する際は、送信したい内容、対象回線、配信量、必要な連携機能を整理すると、利用可能な機能と費用を確認しやすくなります。
まずはRCS送信サービスの機能をご覧ください。具体的な対応範囲、フォールバック条件、法人向け料金は、お問い合わせ窓口でご相談いただけます。
出典:KDDI Message Cast「RCS送信サービス」、KDDI Message Cast「RCS配信の提供開始」2025年5月20日
まとめ
RCSとSMSを選ぶ際は、「新しい規格か」「個人利用で無料か」だけで判断しないことが大切です。
企業側では、実際に配信できる相手、必要な表現や操作、運用条件、法人向けの総費用を比較します。受信者の通信料は、それとは別の確認事項です。
簡潔なテキストを届けるSMSと、画像やボタンで案内できるRCS。それぞれを業務の目的に合わせて使い分け、必要に応じて併用する設計を検討しましょう。
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この資料でわかること
- RCSでできることと、従来のSMSとの違い
- 他の連絡手段と比較したRCSの位置づけ
- RCSの料金体系と、費用対効果の試算例
- RCS非対応端末へのフォールバックの仕組み
- お申し込みから配信開始までの流れと、ご準備いただくもの







