RCS(Rich Communication Services)とは、SMSの次世代にあたるメッセージング規格です。電話番号を宛先にしたまま、画像・動画の送受信や既読確認に対応し、法人からの配信では企業名・ロゴの表示やボタン付きのメッセージも利用できます。国内では、au・ソフトバンク・NTTドコモの3キャリアがiPhone・Androidでの個人間RCS(P2P:Person to Person)に対応し、RCSを受け取れるユーザーが広がっています。

ただし、RCSに対応したスマートフォンが増えることと、企業からすべての回線へRCSを配信できることは別です。本記事では、RCSの仕組みやSMS・MMSとの違い、ビジネスで活用するメリット、キャリア別の対応状況と法人からの配信で届く範囲、導入事例と導入時の注意点を解説します。

※記載している対応状況は、2026年9月時点の各社の公式発表にもとづく情報です。

RCSとは?次世代メッセージング規格の基本

RCS(Rich Communication Services)は、GSMAが標準化を進めるメッセージング規格です。SMSと同じく電話番号を宛先にしながら、高解像度の写真や動画、リンクの送受信、既読確認、グループチャットなどに対応し、電話番号を基にしたコミュニケーションの表現力を広げます。

受信側は、iPhoneの「メッセージ」アプリやAndroidの「Googleメッセージ」といった標準のメッセージアプリでRCSを受け取れるため、企業ごとの専用アプリを追加する必要がありません。利用できるかどうかは、回線・OS・アプリの設定など、キャリアごとの条件によって決まります(詳しくは後述のキャリア別対応状況を参照)。

RCSの主な特徴

利用者どうしのやり取りは個人間RCS(P2P)、企業のシステムから利用者へ通知や案内を送る配信は法人からの配信(A2P:Application to Person)と呼びます。法人向けRCS配信では、次の機能を活用できます。

  • 企業名・ロゴ・認証マークの表示:キャリアの認証を受けた企業アカウントの名称やロゴ、認証マークが表示され、受信者が送信元を確認できる
  • 画像・動画の送信:商品やサービスの案内を、電話番号宛てにリッチな表現で届けられる
  • ボタン・リッチカード・カルーセル:予約や問い合わせのページへ誘導するボタンや、複数の情報を横にスクロールして見せるカルーセルを設置できる
  • 長文の送信:KDDI Message Castでは、SMSの最大660文字に対して、RCSは最大全角2,730文字まで送信できる
  • 配信結果の取得:対応する配信サービスでは、開封やクリックの状況を確認できる

利用できる機能は配信サービスによって異なります。KDDI Message Castで利用できる機能は、RCS配信サービスのご案内をご覧ください。

RCSを利用するアプリと+メッセージの関係

RCSは、iPhoneの「メッセージ」アプリやAndroidの「Googleメッセージ」で利用します。Androidでは、Googleメッセージを既定のSMSアプリに設定していることが3キャリア共通の条件です。国内では、RCS規格をベースにした3キャリア共同のサービス「+メッセージ」も提供されており、こちらは専用の「+メッセージ」アプリで利用します。

+メッセージとRCSは無関係な別の規格ではなく、同じRCS規格に基づくサービスですが、受信するアプリと法人向けの配信経路は異なります。+メッセージを使った法人からの配信も行われており、法人向けメッセージ送信サービス「KDDI Message Cast」は、RCS/+メッセージとSMSを組み合わせた配信に対応しています。

SMS・MMS・RCSの違いを比較

SMSとRCSはいずれも電話番号を宛先にするメッセージですが、送れる内容と受信に必要な条件が異なります。MMSは画像や動画も送れるメッセージで、利用できるかどうかは通信事業者や契約によって異なります。主な違いは次のとおりです。

項目SMSMMSRCS
送信できる内容テキスト、URLテキスト、画像、動画テキスト、画像、動画、ボタン、リッチカード、カルーセル
文字数KDDI Message Castでは最大660文字(長文SMS)通信事業者・サービスの仕様によるKDDI Message Castでは最大全角2,730文字
宛先電話番号通信事業者の仕様による電話番号
企業名・ロゴの表示非対応(送信元は電話番号)非対応認証を受けた企業アカウントの名称・ロゴ・認証マークを表示
既読確認非対応非対応対応
受信に必要な条件SMSを受信できる回線・端末対応する通信事業者・契約・設定対応する回線・OS・アプリ・設定

RCSの強みは、SMSと同じ電話番号宛ての仕組みのまま、企業名やロゴ、画像、ボタンを使った表現ができる点です。一方で、RCSは対応する回線・端末でなければ届かないため、RCSで届かない相手にはSMSで届ける組み合わせが前提になります。

RCSをビジネスで活用する5つのメリット

画像や動画で商品・サービスを伝えられる

商品画像や案内図を本文と組み合わせて送れるため、文字だけでは説明しにくい情報を伝えられます。開封率やクリック率は配信対象や内容、送信タイミングによって変わるため、RCSに切り替えた効果は自社の配信で検証しながら改善していきます。

企業名・ロゴの表示で送信元がわかる

法人向けRCSでは、キャリアの認証を受けた企業アカウントの名称やロゴ、認証マークが表示されます。受信者が送信元を一目で確認できるため、電話番号だけが表示されるSMSと比べて、通知や案内を安心して開いてもらいやすくなります。

SMSへの切り替えでRCS非対応の相手にも届けられる

RCSで配信できない相手に、SMSへ自動で切り替えて送る仕組みをフォールバックと呼びます。KDDI Message Castはこの切り替えに対応しており、RCSに対応した相手には画像やボタン付きのメッセージを、対応していない相手にはSMSを、同じ配信の中で届けられます。切り替え先となるSMSは、国内網接続により98%以上の到達率を実現しています。

ボタンやカルーセルで次の行動に誘導できる

メッセージ内のボタンから、商品ページや予約画面、問い合わせ先へ誘導できます。複数の商品や情報を横にスクロールして見せるカルーセルも利用でき、受信者はメッセージから迷わずリンク先へ進めます。

配信結果を確認して改善できる

対応する配信サービスでは、開封やクリックの状況を確認できます。取得できる指標は利用するサービスや配信経路によって異なるため、RCSとSMSを併用する場合は経路ごとの結果を分けて見ると、文面や配信タイミングの改善に活かしやすくなります。

日本国内のキャリア別RCS対応状況

個人間RCSの対応状況

au系の対応回線では、iPhone(iOS 18.4以上。povo2.0とau回線のMVNOはiOS 26.2以上)とAndroid(Android 8.0以上)でRCSを利用できます。ソフトバンク・ワイモバイル・LINEMOは、2026年3月18日にAndroid(Android 10.0以上)、同年3月25日にiPhone(iOS 26.4以上)で提供を開始しました。ソフトバンクの法人契約の回線とMVNOは、公式案内では今後対応する予定です。

NTTドコモは、2026年8月24日にAndroid 10.0以上の対象スマートフォン・タブレットで個人間RCSの提供を開始し、2026年9月にはiPhone(iOS 27.0以上)にも対応しました。機種ごとの対応可否は、ドコモ公式の対応機種一覧で確認できます。楽天モバイルはRCSに対応していません。

Androidでは、Googleメッセージを既定のSMSアプリに設定したうえで、対応OSと契約内容の条件を満たす端末でRCSを利用できます。iPhoneの条件もキャリアごとに異なるため、iPhoneでの設定方法はiPhoneでRCSを使うには?設定方法・対応キャリア・ビジネス活用まで解説をご覧ください。

RCSを受け取れるユーザーも増えています。KDDIの資料では、国内のRCS利用者(+メッセージのユーザーを含む)は2025年時点で全人口の約40%にあたり、2026年に約65%、2027年には約80%に達する想定です。

キャリアごとの詳しい条件と公式情報は、日本のキャリア別RCS対応状況にまとめています。

KDDI Message Castから法人配信できる範囲

個人間RCSに対応しているキャリアであっても、法人からの配信(A2P)がRCSで届くかどうかは別の問題です。法人からのRCS配信がどの回線に届くかは、キャリアの対応だけでなく、利用する配信サービスがその回線への配信に対応しているかどうかで決まります。

KDDI Message Castは、2026年9月時点でau回線への法人向けRCS配信に対応しています。ソフトバンク・NTTドコモ回線へのRCS配信は現在未対応で、2026年度中の対応を予定しています。楽天モバイル回線へはRCSでは配信できず、SMSでの配信になります。au回線であれば、iPhoneの「メッセージ」アプリとAndroidの「Googleメッセージ」のどちらにも、企業名やロゴ、画像、ボタン付きのメッセージを届けられます。

業界別RCS活用シナリオ

不動産:物件案内や設備サービスの申し込み

物件の画像と説明をまとめて送り、内見予約や資料請求のページへボタンで誘導できます。入居者向けの設備メンテナンスやクリーニングの案内でも、画像で内容を示して申し込みページへ誘導する使い方ができます。

金融:手続きのリマインドや契約更新の案内

申込内容の確認や書類の提出、契約更新など、利用者に行動してもらう必要がある場面で活用できます。企業名と用件を明示したうえで、詳細の確認や手続きは認証のあるWebページへ誘導する形にすると、通知本文に載せる情報を最小限にできます。

小売・EC:商品案内や購入手続きのフォロー

商品画像やキャンペーン情報をカルーセルで見せ、商品ページへ誘導できます。購入途中の利用者へのフォローでは、配信時点の顧客情報に合わせて、すでに購入した人を除外するといった運用と組み合わせます。

自治体・公共機関:申請や行政手続きの案内

申請期限や必要書類を画像やリッチカードで示し、申請ページへ誘導できます。住民全員がRCSを受け取れるわけではないため、重要な通知はSMSへの切り替えを含めた運用で届く範囲を確保します。

RCS/+メッセージの導入事例

KDDI株式会社(開通部門):工事日前日のリマインドをRCSに切り替え、当日の不在延期数を36.7%削減

auひかりの開通工事を控えた顧客への前日リマインドを、文字だけのSMSからRCS(+メッセージ)の配信に切り替えました。公式アカウントの認証マークで送信元を示し、リッチカードにアイキャッチ画像と工事日の日付を大きく表示したことで、すべてSMSで送る場合と比較して、工事日当日の不在による延期件数が36.7%減りました。不在延期が減ったことで、コールセンターが工事日を再調整する時間も月間75時間削減されています。詳細は「KDDI株式会社(開通部門)様の導入事例」をご覧ください。

TOPPANエッジ株式会社:給付金の申請勧奨通知で開封率88%・URLクリック率30%

ある自治体で実施した給付金の申請勧奨通知に+メッセージ(RCS)を活用し、申請期限や必要書類などを視覚的に示した結果、開封率88%、URLクリック率30%を達成しました。詳細は「TOPPANエッジ株式会社様の導入事例」をご覧ください。

いずれも、認証マークとリッチカードで通知の視認性を高め、RCSが届かない相手にはSMSで補う設計が成果につながった事例です。

企業がRCSを導入する方法

導入前に整理すること

はじめに、誰に何を知らせ、どの行動につなげたいのかを決めます。そのうえで、配信対象の回線と受信条件、企業アカウントの登録手続き、利用する機能、料金を確認し、RCSで送れない相手向けのSMS本文も同時に用意します。

初回の配信前には、画像やボタンの表示、リンク先の動作、SMSへの切り替え、配信結果の確認方法をテスト配信で確かめます。KDDI Message Castでは無料トライアルも用意しており、対象となる機能や通数・期間を窓口にご相談のうえ、実際の配信で効果を検証できます。

管理画面・API・Salesforceの3つの利用方法

KDDI Message Castでは、管理画面(入稿ポータル)から配信する方法、既存システムとAPIで連携する方法、Salesforceと連携する方法から選べます。担当者が案件ごとに配信するなら管理画面、自社システムの処理に合わせて自動送信するならAPI連携、顧客管理システムの情報と連動させるならSalesforce連携が向いています。詳しくはRCS配信サービスのご案内をご覧ください。

Salesforce連携でのRCS活用

KDDI Message Cast for SalesforceはAgentExchange(旧 Salesforce AppExchange)平均評価4.75の信頼性を持ち、Salesforceフロー機能と連携した自動配信が可能です。商談ステージの変更やイベントをトリガーにRCSメッセージを自動送信するなど、CRMデータに基づくパーソナライズド配信を実現します。

2025年10月にはSalesforce連携でのRCS配信対応も開始しており、AI拡張オプション(Agentforce連携)によるメッセージ自動生成や最適タイミング送信にも対応しています。

RCS導入時の注意点

受信環境によってRCSが届かない場合がある

RCSが届くかどうかは、回線やOSだけでなく、アプリの設定や受信設定によっても変わります。iPhoneには、企業からのRCSメッセージを受け取るかどうかを切り替える「RCSビジネスメッセージ」の設定があり、個人間RCSを使える状態でも法人からの配信を受信しない場合があります。配信停止の希望をどう運用に反映するかも、SMSへの切り替えを含めて事前に決めておきます。

SMSへ切り替わったときの本文も用意する

画像やボタンに重要な情報を集めすぎると、SMSへ切り替わった際に用件が伝わらなくなります。SMSの本文だけでも送信元・用件・期限・必要な行動が分かるように用意し、フォールバックがどの条件で動作してどの経路へ切り替わるかは、導入時に配信サービスの仕様で確かめておきます。

Wi-Fiまたはモバイルデータ通信が必要

RCSはWi-Fiまたはモバイルデータ通信を使って送受信します。Wi-Fiが必須というわけではありませんが、通信状態によってはすぐに受信できない場合があるため、期限のある重要な通知では、配信結果を確認して未達時の対応を用意しておく運用が必要です。

エンドツーエンド暗号化は通信事業者の対応が必要

AppleはiOS 26.5以降で、「メッセージ」アプリのRCSメッセージをエンドツーエンドで暗号化するベータ版の機能を案内しています。対応する通信事業者で順次利用できるようになるもので、会話の参加者全員が対応する通信事業者を利用している場合に有効になります。法人からの配信で扱う情報の保護は、配信サービスの保護範囲やデータの管理方法、リンク先の認証で担保する形になるため、暗号化の有無とは分けて考える必要があります。

※出典:Apple「iPhoneでRCSメッセージをオンにする」、Apple「iMessage、RCS、SMS/MMSの違いについて」

RCSに関するよくある質問

RCSとは何ですか?

RCSは、SMSの次世代にあたるメッセージング規格です。電話番号を宛先にしたまま、画像・動画の送受信や既読確認に対応し、法人からの配信では企業名・ロゴの表示やボタン付きのメッセージも利用できます。利用できる機能は、配信サービスによって異なります。

RCSとSMSの違いは何ですか?

SMSはテキストとURLを送る仕組みで、SMSを受信できる回線・端末であれば届きます。RCSは画像や動画、既読確認に対応し、法人からの配信ではボタンやリッチカードも使えますが、受信には対応する回線・OS・アプリ・設定が必要です。RCSが届かない相手にはSMSへ切り替えて届ける組み合わせが基本になります。

RCSはiPhoneでも使えますか?

はい。対応する回線とiOSを使い、「メッセージ」アプリの設定でRCSメッセージをオンにすれば、iPhoneでも個人間RCSを利用できます。2026年9月時点では、au・ソフトバンク・NTTドコモの各回線がiPhoneでの個人間RCSに対応しています。ただし、個人間RCSが使えることと、企業からその回線へRCSを配信できることは別です。

法人がRCSを配信するにはどうすればよいですか?

法人向けRCS配信に対応した配信サービスを利用し、企業アカウントの登録、配信対象の回線、利用する機能を確認したうえで配信を始めます。KDDI Message Castは、2026年9月時点でau回線への法人向けRCS配信に対応しています。ソフトバンク・NTTドコモ回線へのRCS配信は現在未対応で、2026年度中の対応を予定しています。

RCSの導入効果はどのくらいですか?

開封率やクリック率は、配信対象や内容、送信タイミング、配信経路によって異なります。公開事例では、KDDIの開通部門が工事日前日のリマインドをRCSに切り替え、すべてSMSで送る場合と比較して当日の不在延期数を36.7%削減した例や、TOPPANエッジ株式会社が給付金の申請勧奨通知で開封率88%・URLクリック率30%を達成した例があります。

RCSと+メッセージの関係を教えてください。

+メッセージは、RCS規格をベースにした国内3キャリア共同のメッセージサービスで、専用の「+メッセージ」アプリで利用します。RCSと無関係な別の規格ではありませんが、iPhoneの「メッセージ」アプリやAndroidの「Googleメッセージ」で使うRCSとは、受信するアプリと法人向けの配信経路が異なります。

まとめ

RCSは、電話番号宛てのメッセージに画像や動画、企業名・ロゴ、ボタンを組み合わせられるSMSの次世代規格です。2026年9月時点では、au・ソフトバンク・NTTドコモの3キャリアが個人間RCSに対応する一方、法人からの配信で届く範囲は配信サービスごとに異なります。RCSの表現力と実際に配信できる範囲を分けて考え、RCSが届かない相手にはSMSで届ける設計が導入の基本です。

法人向けメッセージ送信サービス「KDDI Message Cast」は、au回線へのRCS配信とSMSへの自動切り替えに対応し、管理画面・API・Salesforce連携から利用方法を選べます。機能や利用方法はRCS配信サービスのご案内でご確認いただけます。配信対象や必要な機能が決まっている場合は、お問い合わせからご相談ください。

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この資料でわかること

  • SMSの利用実態と他コミュニケーションツールとの比較
  • ビジネスシーンにおけるSMSの代表的な利用用途
  • 「KDDI Message Cast」の導入事例