RCSとは?特徴やSMSとの違い、活用事例を解説

RCSは、SMSの代替として注目されている通信手段です。テキストで簡単にコミュニケーションできるSMSと異なり、RCSはより多くの情報をやり取りすることが可能です。本記事では、RCSの概要や特徴、そしてビジネスでの活用事例について詳しく紹介します。
目次
RCSとは

RCSとは、『Rich Communication Services』(リッチコミュニケーションサービス)の略で、携帯電話のメッセージ送受信のための標準規格です。SMSやMMSよりも豊富な機能を備えており、グループチャットやファイル共有、既読確認などの高度な機能を提供し、よりリッチなコミュニケーションを実現します。
RCSは2007年に海外で考案され、技術開発が進められました。2016年にはGoogleがAndroidでの対応を開始し、世界展開が始まりました。2024年9月にはAppleがRCSメッセージ対応のiOS18をリリースし、iPhoneでも標準的に使えるようになっています。
テキストメッセージと比較して情報量が多いため、RCSはマーケティングや社内コミュニケーションなど、ビジネスにおいても幅広く活用されています。RCS対応アプリを使用することで、SMSやMMSと同じ感覚で視認性が高く、使いやすいメッセージの送信が可能です。
RCSの特徴
RCSは音声を含むメッセージ機能やIP音声・ビデオ通話による通信、チャット機能やファイルの送受信などのさまざまな機能が搭載されています。位置情報の共有やデータ容量の大きいコンテンツも取り扱い可能です。ここではより詳細にRCSの特徴を紹介します。
動画・画像ファイルの送受信ができる
RCSはテキストだけでなくファイルを送受信できます。JPG、GIF、TIFF、MP4、WMFといった画像や動画のファイルを送って、相手にわかりやすい情報を届けられるのが特徴です。また、PDFやパワーポイント、キーノートのファイルも送れるので、RCSならメッセージを通してプレゼンテーションができます。
モバイルデータ通信を利用する
RCSは電話回線ではなくモバイルデータ通信の回線を使用します。データ通信を使用するのでSMSとは料金体系や通信環境が異なります。Wi-Fi環境があればRCSを使って無料でリッチメッセージを送信可能です。Wi-Fi環境がない場合にもモバイル回線を使用して送信できますが、データ量に応じた通信料金が発生します。
メッセージ・チャットでやり取りができる
RCSは単純なメッセージの送受信だけでなく、リアルタイムでチャットによるコミュニケーションができます。LINEのように相手の既読状況を確認しながらやり取りできるツールです。RCSはグループチャットにも対応しているので、ビジネスではプロジェクトごとにグループを作ってコミュニケーションを取ることもできます。
開封率・クリックスルー率が高い
メッセージを送るときには開封率やクリックスルー率が重要です。RCSはSMSと同様に高い水準の開封率とクリックスルー率を誇っています。GSMAのレポートでは、KDDIによるとRCSメッセージが85%以上開封されていて、クリックスルー率はSMSや電子メールの場合に比べて40%以上高くなっていると報告しています。
参照:日本におけるRCSビジネス・メッセージング2019年12月
https://www.gsma.com/solutions-and-impact/technologies/networks/wp-content/uploads/2019/12/1-RCS-Business-Messaging-in-Japan-single-combined-low-res-JAPANESE.pdf
SMSとの違い
RCSとSMSはどちらも電話番号を宛先にして送信しますが、SMSは短いテキストメッセージをやり取りするサービスである一方、RCSはより多くの文字数を送ることができ、画像やファイルも添付できます。ここではその違いを詳しく見ていきます。
関連リンク:SMS(ショートメッセージ)とは?料金や送受信方法をわかりやすく解説
https://kddimessagecast.jp/blog/sms/post-42/
料金
RCSはインターネットのデータ通信を利用するため、データ量に応じて料金が発生します。テキストのみの送受信であればSMSより安くなることが多いです。一方、SMSは1通ごとに料金が発生し、国内の携帯キャリアでは1通あたり約3円前後の料金がかかります。RCSはデータ通信料のみで基本的に無料で利用できますが、大容量のデータ送信時はその分の通信料がかかることがあります。
宛先
RCSもSMSも宛先は電話番号を使用します。どちらも携帯電話番号宛に送信する点で共通しています。
文字・画像
SMSはテキストのみに対応し、1通あたり最大660〜670文字程度の送信に限定されています。一方、RCSはテキストだけでなく、写真、動画、スタンプ、ファイル添付など多様なコンテンツの送受信が可能です。さらに、RCSではグループチャット機能や既読・未読確認機能も利用できるため、よりリッチなコミュニケーションが実現できます。
比較一覧表
RCS | SMS | |
---|---|---|
宛先 | 電話番号 | 電話番号 |
テキストの文字数制限 | 2,730文字 | 660~670文字 |
画像や動画の添付 | 可 | 不可 |
ファイルの添付 | 可 | 不可 |
グループメッセージ | 対応 | 非対応 |
料金体系 | データ通信量による | 1通3円~30円程度 |
既読確認 | 可 | 原則不可 |
RCSのメリット・デメリット
RCSにはSMS、MMS、Eメールなどと比較するとメリットもデメリットもあるので確認しておきましょう。
RCSのメリット
RCSは、1人1番号の時代になっている現代で電話番号を宛先にしてリッチメッセージを送れるのがメリットです。長文のテキストや写真などを活用できるため、より深いコミュニケーションを取れます。到達した相手の開封率やクリックスルー率も高いので、RCSならコストパフォーマンスの高いマーケティングができます。
RCSのデメリット
RCSは利用者がまだ少ないのがデメリットです。SMSは携帯電話の標準機能として搭載されていますが、RCSを利用するには対応アプリをインストールして使用する必要があります。RCSアプリを持っていないとメッセージを送受信できないので、SMSと比較するとアプローチできる相手が限定されるのがデメリットです。
RCSの代表的なサービス
RCSはGoogleによってOS単位での対応を始めたことをきっかけに、多様なサービスが登場してきました。ここでは国内でよく用いられているRCSのサービスを紹介します。
+メッセージ
+メッセージはdocomo、au、Softbankの3大キャリアやY!mobile、ahamoなどのサブブランドで利用できるRCSサービスです。アプリをインストールすると契約者同士なら無料でメッセージのやり取りができます。長文のテキストやスタンプの送信、写真の添付などもできるリッチメッセージでビジネスでもよく用いられています。
関連リンク:プラスメッセージとは?料金やメリットなどSMSやLINEとの違いについても解説
https://kddimessagecast.jp/blog/sms/240302/
RCS Business Messaging
RCS Business MessagingはGoogleが提供しているビジネス向けのRCSサービスです。Androidのメッセージアプリを通してリッチメッセージを発信できます。コンテンツの制作ガイドラインなども用意されていて、管理コンソールからはメッセージの履歴やアクティビティの分析も可能なのでマーケティングに適しています。
参照:RCS ビジネス メッセージ | RCS Business Messaging |Google for Developers
https://developers.google.com/business-communications/rcs-business-messaging?hl=ja
RCSの活用事例
RCSは企業での活用が進んでいます。NespressoではRCSビジネスメッセージを導入し、パーソナライズされたメッセージの送信によりギフト商品のプロモーションをしました。大切な人にギフトを贈るケースだけでなく、自分自身にギフトを贈る人も視野に入れたマーケティングにRCSを活用しました。結果として、販促目的のメッセージであるにもかかわらず、開封率73%を達成しています。
同社では会話型キャンペーンを実施して商品を探しやすくする取り組みを実施しました。その結果、RCSを受け取ったユーザーの購入意向をさらに25%向上させることに成功しました。RCSと相性の良いキャンペーンを実施することで大きな成果を出した事例です。
参照:Nespresso | RCS Business Messaging|Google for Developers
https://developers.google.com/business-communications/rcs-business-messaging/success-stories/nespresso?hl=ja
法人向けSMS送信サービスなら「KDDI Message Cast」
RCSは充実したコンテンツを送信できるため、ビジネスでの活用価値があります。しかし、現状ではRCS対応アプリをインストールしているユーザーはまだ少ないため、携帯電話番号を宛先にしてリーチするには、端末に標準搭載されているSMSが適しています。
「KDDI Message Cast」は、長文SMSや一斉送信に対応した使いやすいSMS送信サービスです。RCSのように画像や動画の送信はできませんが、短縮URLを利用することで相手に画像や動画などのファイルを共有することができます。到達率・開封率が高いSMSを活用するには、「KDDI Message Cast」をぜひご利用ください。
まとめ
RCSは、長文テキストや画像・動画を含むリッチメッセージを送受信できるサービスです。SMSとは異なり、モバイルデータ通信を利用するため、使い方次第でコストパフォーマンスを高めることができます。ただし、RCSはスマートフォンに標準搭載されているわけではなく、利用者が自らアプリをインストールする必要があります。そのため、リーチできる範囲を広げるには、標準搭載されているSMSの利用がおすすめです。両者のメリットを活かし、ビジネスに活用していきましょう。